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2.夢介千両みやげ 3.又四郎行状記 6.浪人市場(一) 7.浪人市場(ニ) 8.浪人市場(三) 9.浪人市場(四) 10.素浪人案内 |
●「桃太郎侍」● ★★★ |
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1978年3月 山手樹一郎長編
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言うまでもなく、山手樹一郎作品の代表作。 江戸の陋巷で母一人に育てられた新二郎。その母に死なれて天涯孤独の身となった彼は、自由に生きようと心に決めます。早速武士に絡まれていた女・小鈴を助けることになりますが、その時名乗った名前が“桃太郎”。 明朗闊達で知恵も剣の腕も立つという主人公。それに加えて武家娘・町娘という2人の美女も登場し、恋の駆け引きもある。さらに、強力な敵方が登場しますが、最後は勧善懲悪。絵に描いたようなヒーローもの時代小説的ですが、その明るさ、健全性がとにかく楽しいのです。 |
●「夢介千両みやげ」● ★★★ |
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2022年02月 大衆文学館 |
大枚千両を持って道楽するために江戸にやってきた、小田原の豪農の息子・夢介を主人公とする明朗時代小説。 図体も大きく腕力もあるが、底抜けにお人よしで気前も良く、多少のことでは少しも動じないという、稀に見るキャラクターの持ち主である夢介の活躍ぶりが、とにかく楽しい作品です。 その夢介にぞっこん惚れこんで、すがりついて離そうとしないのが、道中で夢介の懐を狙った美女道中師・お銀。 夢介というのは、その容貌、体型からは結びつかないものの、やはり一種のスーパーマンである、と言って良いと思います。 時代小説には珍しく、侍でなく、農民をスーパーヒーローに仕立て上げたところが、本作品の貴重なところです。 ※ 続編「夢介めおと旅」を下巻に収録 |
●「又四郎行状記」● ★★★ |
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山手樹一郎長編
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山手樹一郎の時代小説は明朗闊達なところが特徴ですが、その中でもとりわけ明るいのがこの作品。 ストーリィは、山手作品らしいお家騒動。 |
●「江戸名物からす堂(一)」● ★★ |
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1978年11月 山手樹一郎長編
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山手樹一郎の時代小説は、96年ネットに入り込んだ頃、ネット仲間に紹介されて愛読していました。本作品はそれ以来、久々の再読です。 神田小柳町の縄のれん「たつみ」は、女主人・お紺の水際立った器量から大繁盛。そのお紺が夢中になって恋い慕っている相手が「観相十六文、からす堂」という美男の浪人者。 十六文からす堂(たつみのお紺・紅だすき狂乱・千人悲願・毒薬の行方・母心子心・横恋慕・義理の兄・むっつりだんな)/ |
●「江戸名物からす堂(ニ)」● ★☆ |
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山手樹一郎長編
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神田八辻ガ原に立つ大道観相見・からす堂の颯爽たる活躍は、第1巻どおり変わるところはない。 深編笠からす堂(夜桜お千代・花曇り村正・教祖お照さま)/ |
●「浪人市場(一)」● ★★☆ |
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山手樹一郎長編
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「浪人市場」は全4巻におよぶ、山手作品を代表する大河小説と言って良い作品です。また、それと同時に山手作品の要素が凝縮されている作品とも言えます。 筋立ては山手作品らしい、勧善懲悪もの。大川忠介の感化で、悪党揃いであったはだか長屋の連中が善人に生まれ変わり、忠介を中心にして悪商人、悪辣役人らと戦うという内容です。 ○忠介側:善助、勝兜、向井作左衛門、鉄、浅岡伊助、お照、おつね |
●「浪人市場(ニ)」● ★★☆ |
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1979年3月 山手樹一郎長編 2000/02/19 |
本巻のストーリィは2つ。 後者における敵方は十万石の一藩と大きくなり、これでもかこれでもかという危機の連続。いい加減にしたらと言いたいところですが、忠介ら皆が一生懸命力を合わせて活躍するだけに、読む側としてもただ引き込まれて読み進むのみです。 ○忠介側:市岡彦四郎、お妻、利根一平、青木大蔵 |
●「浪人市場(三)」● ★★☆ |
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1979年4月 山手樹一郎長編 2000/02/28 |
本巻のストーリィは2つ。 第二は、女を誘拐する暗黒組織・極楽寺連中との闘い。悪役くず十が再び登場。最後にはお八重の方にも危機が迫りますが、忠介の活躍で無事救い出され、忠介とお八重の方が遂に結ばれるという大団円まで。 ○忠介側:後藤弥左衛門、八瀬半五郎、お今、お豊、初五郎、和久敬太 |
●「浪人市場(四)」● ★ |
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山手樹一郎長編 2000/05/05 |
本巻での大川忠介は脇役の立場。したがって、前3巻までのような面白さは見られず、本巻の2篇は番外編として位置づけられます。 「江戸の素顔」では、淀分家のお京の方と高岡菊太郎という主従の恋。忠介らはだか長屋の連中が2人を応援します。 「白狐の復讐」は、大介の弟・徳次郎が主役となった、江戸市中を震撼させる盗賊・白狐の探索物語。徳次郎とお町の恋が交わります。 |
●「素浪人案内」● ★ |
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山手樹一郎長編時代小説全集72・73 |
物足りないという感想がまず第一。 まず、主人公の神永福太郎。どういう出自の浪人か最後まで判らず仕舞い。そんなのってあるだろうか? |