山野辺太郎
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1975年福島県生、宮城県育ち、東京大学文学部卒、同大学院人文社会系研究科修士課程修了。2018年「いつか深い穴に落ちるまで」にて第55回文藝賞を受賞し作家デビュー。

  


       

「いつか深い穴に落ちるまで ★★       文藝賞


いつか深い穴に落ちるまで

2018年11月
河出書房新社

(1300円+税)



2018/12/08



amazon.co.jp

日本とブラジルを繋ぐ、地球を貫くトンネル掘削計画。
計画されたのは戦後すぐ、立案者は運輸省の若手官僚だった山本虚子晴。
理由はといえば、「だって。近道じゃありませんか」と単純。
そして、
「底のない穴を掘る」という秘密プロジェクトが、戦後から始まり長きにわたって密かに続けられます。

言うまでもなく、あり得よう筈もない、ホラ話。
そんなホラ話ストーリィの主人公となるのは、本プロジェクトに参画する建設会社の子会社に入社した広報係の
鈴木一夫

陽の目に当たることもなく、計画の実現可否もはっきりわからないまま、主人公は恋愛や結婚もすることなく、この仕事をし続けます。
虚しい・・・・、そりゃそうでしょう、ホラ話のような計画なのですから。
しかし、遂に計画は完成? そして鈴木一夫が迎えた運命は?

馬鹿らしいホラ話と思いつつも、ここまで突き抜けたようなホラ話になると、痛快にして壮大、それ以上の言葉はなし。

最後、鈴木一夫が迎えた結末は、悲運と言うべきか、阿呆らしさの象徴と言ったら良いのか。
呆然とするばかりですが、この途方もない結末こそ、ホラ話の極みにして見処、何とも言えない読後感がいつまでも残ります。

   


  

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