山田正紀作品のページ


1950年愛知県生、明治大学政経学部卒。74年「神狩り」にて第6回星雲賞を受賞してデビュー。「地球・精神分析記録」にて第9回星雲賞、「宝石泥棒」にて第11回星雲賞、「機神兵団」にて第26回星雲賞、「神々の埋葬」にて第4回角川小説賞、「最後の敵」にて第3回日本SF大賞、「ミステリ・オペラ」にて第55回日本推理作家協会賞・第2回本格ミステリ大賞を受賞。

  


 

●「風水火那子の冒険」● ★★




2003年4月
光文社刊

(800円+税)

2006年7月
光文社文庫化

 
2003/05/21

典型的な安楽椅子探偵もの、中篇4作。
探偵役は表題にあるとおり、風水火那子という変わった名前の、少女ともつかぬ雰囲気のボーイッシュな美人。その火那子は、新聞配達の勧誘員もしくは配達員というのですから、ますます異色の探偵像。
「事件解決したげる、その代わり新聞をとって」というのは、思わずのけぞってしまうような殺し文句です。

各篇の主人公は、各々事件の捜査側の人物。その主人公たちが頭を抱える中、すっと現れてたちまちに事件の真相を推理して解決してしまうのですから、お手並みは鮮やかという他ありません。冒頭の「サマータイム」は、如何にも“ひと夏の青春”風ミステリですが、真相にはいまいち納得しがたい。
一方、ラーメン屋7軒が揃った<ラーメン横丁>で起きた殺人事件の謎を解く「麺とスープと殺人と」が秀逸!
また、風水火那子の特異ぶりが遺憾なく発揮される「ハブ」もまた楽しく、私好み。

サマータイム/麺とスープと殺人と/ハブ/極東メリー

※風水火那子が活躍する作品は、他に「阿弥陀」、「仮面」(幻冬舎)あり。また、火那子の兄・風水林太郎が活躍するシリーズもあるらしい。

 


  

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