八重野統摩
(とうま)作品のページ


1988年生、北海道札幌市出身、立命館大学経営学部卒。電撃小説大賞への応募作が編集者の目に留まり、2012年「還りの会で言ってやる」にて作家デビュー。

  


       

「ペンギンは空を見上げる ★★★




2018年05月
東京創元社刊

(1600円+税)



2018/07/27



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小6・佐倉ハルの夢はNASAのエンジニアになること。
風船ロケットを自分で設計する程のオタクですが、何故かクラスで孤立、誰も友達がいない状況。
同じ商店街で育った幼馴染の
三好さえ、ハルは自分に近寄るなと約束させ、遠ざかっている風。・・・何故?

そんなハルのクラスに突然、米国から転校生がやってきます。
父親が日本人、母親が英国人というハーフの
鳴沢イリス。のっけから同級生たちと親しくなるのを拒否する風で、ハルとはまた違い、目立って孤立。
しかし、ある出来事がきっかけとなってハルはすっかりイリスに懐かれてしまい、いつも付きまとわれる始末。
そんな経緯もあって、風船ロケット第2号の打ち上げに際し、ハルは三好のほかイリスもメンバーに加えることになります。

一体何故、ハルはクラスでの孤立を選んだのか。それには一年前のある出来事が絡んでいるらしい。・・それは何なのか?

自分とイリスでは全く違うと言いつつ、三好に言わせれば、2人はよく似ている、ということになります。
そんなハルとイリスのやり取り、さらに三好も加えた三人の同級生関係は、ちょっと羨ましいような親密感が感じられます。
しかし、・・・・。

世の中とは中々思うようには行かぬもの。そのことを身に染みて感じているのが、ハルなのかもしれません。
その理由、隠されていた秘密は、終盤になってやっと明らかにされます。

読み終えた後は、ハルたちに向かってこう言いたくなる気持ちを抑えられません。
君たちの前に未来は開けている、君たちは夢を膨らませることができるんだ、と。

青春、イジメ、未来への夢、友情、予想もしなかったミステリ仕掛けと、本作は読み応え、感動、爽快さ、ともたっぷり。
これはもう、是非お薦めです。

※なお、表題の
「ペンギン」とは、飛べない故に空を見上げるしかない鳥、という意味らしい。

プロローグ/1.海の向こうから/2.言葉の壁/エピローグ

   


  

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