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2.忍びの国 3.村上海賊の娘 |
●「のぼうの城」● ★★ |
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2010年10月
2008/06/26
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北条攻めのため秀吉が発した大軍。 本書の面白さは、いわゆる既成の名将像とは全くの対極にある武将像が登場するところにあります。 少数の篭城側と、大軍の攻撃側。凄惨な攻防ストーリィが繰り広げられて当然なのに、篭城側は何故か明るく楽しげ。 |
※映画化 →「のぼうの城」
●「忍びの国」● ★★ |
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2011年03月
2008/06/18
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織田信長の次男である北畠信雄率いる伊勢衆と、伊賀忍び衆との激闘を題材にした戦国時代小説。 織田軍との戦いとなれば、一族の生死および領国の存亡をかけた決死の戦い、激戦というべき合戦譚となってよい筈なのですが、どこか滑稽味のあるところが、和田作品の個性と言うべきところか。 ファザコンをさらけ出す信雄、思わぬ間抜けぶりを発揮する百地三太夫、土遁の術の披露だけに固執する老忍らの人物造形がすこぶる愉快なのですが、その中でも群を抜くのが、「その腕絶人の域」と評される三太夫秘蔵の忍び“無門”。 戦国時代小説には稀な、凄絶であると同時に滑稽味ある、エンターテイメント。 ※(補足)伊賀には戦国大名が不在で、66人の地侍たちの間で同盟が結ばれていた。その66人から選出されたのが「十二家評定衆」とのこと。 |
3. | |
「村上海賊の娘」 ★★☆ 吉川英治文学新人賞・本屋大賞 |
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新潮文庫化
2013/11/23
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石山本願寺と織田信長の長年に亘る戦い、その中で双方の水軍同士が激突したことで有名な第一次木津川合戦(1578年)を描いた時代歴史もの大長編。著者の和田竜さんは本書を4年がかりで執筆したそうです。 織田信長はついに石山本願寺を干し上がらようと徹底した封鎖作戦に出ます。兵糧輸送の可能性が唯一残されたのは海側。そこで石山本願寺は毛利に救援を求めますが、信長と石山本願寺、どちらの側を選択するかは毛利にとっても重大事。 上巻は本物語における前哨戦、石山本願寺側についた鈴木孫市率いる雑賀党と泉州侍を主体とした織田方の地上戦での激闘が描かれます。 下巻はいよいよ瀬戸内の村上海賊を主体とした毛利方と、泉州の眞鍋海賊を主体とした織田方という、海賊同士の海上における激戦が描かれます。とくに「第5章」 250頁余りを費やして村上海賊と眞鍋海賊の一転二転して勝敗の行方定かならぬ激戦を、延々と詳細かつリアルに描き出して圧巻。まさに映画のアクションシーンに引けを取らない興奮で、頁を繰る手が止まりません。 和田さんが創り出した本物語のヒロインが、能島村上家当主である村上武吉の娘=景(きょう)。単に物語の主人公に留まらず、本物語を引き回す圧倒的な存在として大車輪の活躍です。 若い娘のくせに腕が立って海賊働きが大好き。しかし、本願寺へ向かう一向宗門徒を送り届けた折に戦いの現場を自分の目で見、戦さという現実の過酷さに自分の甘さを気づかされ挫折。しかし下巻に入ってその景が息を吹き返します。そこからが本物語の読み処。 眼前のストーリィだけを追えばそういう粗筋ですが、本物語において大勢を動かすのは次の選択。群雄割拠の時代から大勢力に帰属せざるを得ない時代の中にあって、“家”を守るためにチマチマ生きるか、自分らしさを貫き猛々しく生きるか。 そうした選択は現代社会の仕事にも通じることでしょう。 またそれは、戦さ人だけでなく石山本願寺側にも言えることだと思います。即ち信仰を守るのか、寺という場所を守るのか。 歴史事実より、合戦を主体にその興奮、凄絶、非情を克明に描いた大長編。アクション好きの方は見逃せない作品です。お薦め。 ※海賊、水軍に興味が湧いたら次の作品もお薦め。海軍もの:白石一郎「海狼伝」、水軍もの:隆慶一郎「見知らぬ海へ」 |