坪田侑也
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2002年東京都生、19年現在私立高校在学中。18年「探偵はぼっちじゃない」にて第21回ボイルドエッグズ新人賞を受賞し作家デビュー。

  


       

「探偵はぼっちじゃない The Detective is not Alone ★★


探偵はぼっちじゃない

2019年03月
角川書店

(1600円+税)



2019/04/28



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中学3年生が夏休みに書いたという青春ミステリ。
ボイルドエッグズ新人賞を受賞したということですから、大したものです。出版社の紹介文に記載されていなかったら、多分気づくことはなかったでしょう。

中高一貫の私立男子校を舞台にした、3つのストーリィ部分から構成される長編ミステリ。
主人公の一人は、中三の
緑川光毅。将来幸せになるために良い大学に入り、医者になれと受験勉強を強制する父親から逃れるように、光毅を誘って来た同級生の星野温(あつむ)と共にミステリ小説の創作に熱中します。
もう一人の主人公は、理事長の息子ながら未だ新米教師である
原口誠司。先輩教師の石坂と共に、ネットの自殺願望者サイトに加わっている自校の生徒を救わなければと、懸命になります。

そしてもう一つは、星野がトリックを考え、緑川がストーリィを考えた作中作品である、学園ミステリ。

率直に言わせてもらうと、作中作ミステリはやや退屈。
本ストーリィも、登場人物を十分に生かし切れていないという勿体なさが感じられて、ちょっと残念。

その一方、本ストーリィには、また登場人物の言葉には、現在の中学生世代の生の思い、生の言葉が詰まっている、と感じられるところが、本作の魅力であり素晴らしいところ。
また、ストーリィ展開についても、最後の逆転がお見事。
救われるべきだったのは誰だったのか。思いがけない展開には胸のすくような思いがしました。

中学生の言葉を聞けるストーリィという点で、お薦め。

   


  

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