鳥飼否宇
(とりかいひう)作品のページ


1960年福岡県生、九州大学理学部生物学科卒。18年の出版社勤務を経て2000年奄美大島に移住。01年「中空」にて第21回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞し作家デビュー。

 


           

「妄想女刑事」● 


妄想女刑事画像

2012年09月
角川書店刊
(1600円+税)

  

2012/11/02

  

amazon.co.jp

警視庁捜査一課に所属する女性刑事が、泥酔しては妄想推理を繰り広げ、バーテンダーが与えたヒントから事件の真相が明らかになる、という趣向の連作ミステリ。

主人公は宮藤希美・29歳。一応美人ながら天然キャラ、妄想癖ありというちょっと危ないキャラクター。その宮藤とコンビを組むのが、顔はマントヒヒの尻みたいと評されるベテラン刑事の荻野正則・40歳で、こちらは美少女オタクのフィギュア好き。
このコンビが殺人事件の捜査にあたって行き詰まると、宮藤はバーで泥酔しては事件の詳細と妄想推理をバーテンダーの
御園生独(みぞのうひとり)に語ってしまうのが常。それでも御園生がつぶやいたヒントから「やだっ、解けちゃった」と真相に気付き、事件を解決に導くというパターンが毎度繰り返されるのですが、いくら小説とはいえ、いいのかこんな刑事で?と心配になってしまう。

各事件は皆奇々怪々ながら、それに反して事件の真相はあっけなくインパクトに欠けるという点が物足りず。
なお、5篇の中では
「日本観光コスプレ変死事件」が面白い。人気TV番組をもじって“○○戦隊○○レンジャー”という命名は噴飯ものでした。
“妄想”とはいうものの、単に突拍子もない発想というに過ぎないじゃないかと思っていたところ、最後に読み手が予想もしなかったドンデン返しが仕掛けられていました。
成る程これはまさしく妄想だ、と得心した次第。

プロローグ:宮藤希美の登場/事件ファイル1.独身中年ゴシチゴ暗号事件/2.通勤電車バラバラ殺人事件/3.日本観光コスプレ変死事件/4.先輩刑事モンペで殉職事件/5.世界遺産アリバイ幻視事件/エピローグ:御園生独の退場

                 


   

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