高瀬隼子作品のページ


1988年愛媛県生、立命館大学文学部卒。2019年「犬のかたちをしているもの」にて第43回すばる文学賞を受賞し作家デビュー。

 


                   

「おいしいごはんが食べられますように ★★


おいしいごはんが食べられますように

2022年03月
講談社

(1400円+税)



2022/04/20



amazon.co.jp

題名からすると、最近流行りのグルメ絡みのハートウォーミングなストーリィかと想像するのですが、全く大違い。

食べ物絡み、恋愛絡みの、これは“職場小説”と言うべき作品だろうと思います。

舞台となるのは、食品や飲料のラベルパッケージ製作会社のとある支店。
主人公となるのは、女性社員の
押尾と、同僚である男性社員の二谷。この2人が交互に語り手となります。
この2人、仕事が終わった後に時々一緒に食事に行く関係なのですが、ある時、押尾は
「二谷さん、わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」と誘います。

ええっ、職場でのイジメ?と驚いてしまうのですが、その意味するところは何ともはや・・・。
その
芦川、押尾や二谷の先輩となる女性社員なのですが、どこかか弱いところがあり、しんどくなりそうな仕事はさせないっていうのが皆の共通ルールになっている。

この3人の関係が面白い。
押尾と二谷は共謀関係にあるようなのですが、その二谷は次第に芦川と恋人関係に嵌っていく。それでも二谷と押尾との関係は変わらないまま。
そして押尾と芦川の関係はというと、皆が芦川に優しくするあおりで、仕事の負担が押尾にしわ寄せされている。

身体に不調をきたすような仕事を無理に押し付けるべきではないという意見はごもっとも。
芦川は自らそれを請うことはないし、善意で無邪気なのですが、その結果として仕事の負担を増やされてしまう側は堪ったものではない、というのもまた事実。

ちょっと奇妙でちょっとユーモラス、職場ではこんなこともあるある、という一方で、そんな風だったらとてもやってられない、という“職場小説”。
さて結末は? ・・・弱い者は強し。どうぞ一読あれ。

        


   

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