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2.幽霊人命救助隊 3.踏切の幽霊 |
●「13階段」● ★☆ |
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2004年08月
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死刑執行が間近に迫った死刑囚の冤罪を晴らすため、元刑務官と出所したばかりの元受刑者という青年の2人が、10年前に起きた殺人事件の真相を突き止めるため、調査に乗り出すというストーリィ。 本書はミステリであると同時に、死刑制度の意味について問い掛けた作品であると言えます。 死刑論議が具体的に展開される一方で、ストーリィの始まりは納得性に欠けます。 |
「幽霊人命救助隊」 ★★ |
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2007年04月
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自殺して中途半端な場所に留まっている4人。 まず、幽霊による人命救助チームという発想が秀逸。何と現代にマッチする、奇抜なストーリィであることか。4人の年齢が違ううえに自殺した年代に24年もの差があるというのも、センスが良い。言葉や考え方のスレ違いがまた楽しいのです。 ※本ストーリィ中最も記憶に残ったのは「第3章 子供たち」。 |
3. | |
「踏切の幽霊」 ★★ |
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妻を一人寂しく死なせてしまったという悔恨を抱え続けている主人公=松田法夫・54歳は、新聞記者を辞め、今は月刊女性誌の契約記者。 その松田、編集長の井沢から幽霊話の取材・記事を指示され、取材を開始した処で出くわしたのが、下北沢駅近くの踏切で撮られた心霊写真。 実は一年前、その踏切近くで若い女性の殺害事件があり、犯人は逮捕されたものの被害者である女性の身元は不明のままであることが分かります。 松田、その被害者女性の身元を突き止めようと取材を開始するのですが・・・。 幽霊の存在を前提にしたストーリィですが、いつしか被害者女性の身元調査、殺人事件の真相を追うミステリへと変転していきます。 読み進んでいくうち、何度もゾクゾクッとするようなスリル、緊迫感があり。 とくに幽霊の正体は? 何故幽霊となったのか? その理由が分らないからこそ、なおのこと本当に怖い、という感じ。 ミステリといっても、幽霊という不気味な存在があってこそ。事件の悲惨さが際立つために本ストーリィに惹きつけられて止みません。 ミステリより、幽霊譚としての凄み、迫真さが本作の魅力。 圧巻、のひと言です。 |