高梨愉人
(ゆじん)作品のページ


1987年生、広島県出身、愛知県在住。会社員の傍ら30歳で執筆活動を始め、「二度目の過去は君のいない未来」にて作家デビュー。

  


       

「余命一年、夫婦始めます ★☆   


余命一年、夫婦始めます

2022年11月
ポプラ文庫

ピュアフル
(740円+税)



2023/01/01



amazon.co.jp

仕事一辺倒で生きて来た瀬川拓海、28歳。体調が悪く病院へ行ったところ、いきなりの余命宣告、1年程度。
その拓海が病院で偶然知り会ったのは、やたら馴れ馴れしくかつ遠慮なく言いたい放題の若い女性=
瀬川葵。そして彼女もまた、余命1年と宣告したばかりだった。

共にこれまで結婚と縁がなかった二人、
「だったら私と一緒に始めてみませんか」という葵の提案に、幾らなんでもと思ったものの、体調悪化で収入が途絶え今やホームレスという葵をやむなく受け容れ、その日から二人は同棲生活開始、いや疑似的夫婦生活を開始することになります。

即製夫婦による行き違いコメディ、といった感じです。
まず、2人とも異性との共同生活経験がないうえに、“結婚”としてイメージするところがまるで違う、ということがどんどん判ってきます。
長い恋愛を経ての結婚と違って、見合いでいきなり結婚したカップルのようなものですから、それぞれ思い込みが強いとあって食い違うのは当然のこと。
拓海もそうですが、それ以上に葵の方が突拍子もなしというか。

でも、衝突と行き違いを繰り返し、互いに相手の想い、自分の身勝手さに気づいて、次第に夫婦らしくなっていくというストーリィ。
何故か、拓海の元カノで他男性と既婚の
ニコこと丸山二胡が2人に絡んでくるのが奇妙、というか妙というか、やむを得ず必然的というか。

昔、映画・原作とも大ヒットした「ラブ・ストーリィ」のような感慨を受けないのは、2人にやり遂げた感があるからでしょう。
現実的にはおよそ考えられないような、ラブ・ストーリィ。

1.余命一年のふたり/2.夫婦、始まる/3.人生最後の旅へ/4.ふたりが主役になる日/終章.最後の約束

           


  

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