|
|
1.マークスの山 2.四人組がいた。 |
「マークスの山」 ★★ 直木賞 |
|
|
評判があまりに高いことから読むに至った一冊。 迫真の警察小説と呼ぶに相応しい作品ですが、そのうえにロマンティシズムの香りも感じます。女性作家による作品とはとても思えない迫力に驚きを禁じ得ません。 ストーリィは、登山者の殺害事件から始まります。 |
「四人組がいた。」 ★★ |
|
|
「マークスの山」以来の高村薫作品。 ハードボイルド作品には手が出なかったのですが、今回は「高村薫、ユーモア小説に挑む」とのことでしたので、それならば読んでみようかと思った次第。 山奥の忘れられたような村が本書の舞台。 そこで元村長、元助役、郵便局長、野菜直売りのキクエ小母さんという老人4人は、日がな一日郵便局兼集会所に陣取り、法螺話を繰り広げては日々を過ごしているという状況。 その法螺話が凄い。事実を話しているかと思えばいつのまにか法螺としか思えないような話が入り混じり、ついには法螺話の方が主体になっているという具合。もしやこれは法螺ではなく実話だったのかと、まるで煙を撒かれたような気分です。 そんな話が実しやかに思えてくるのも、場所が山奥の、世間から見捨てられたような過疎の村だからこそ。 みんなが見捨てるからこんな村になってしまったのだという、強烈な毒気が本書からは感じられます。 それにしても、過疎地保育所兼老人デイサービスセンターなるもので保育仕事に奮闘するのが子沢山のタヌキだったり(四人組、危うし!)、小娘狸48匹が集まってアイドルグループ“TNB48”を結成しフェスティバルで踊ったり(四人組、伝説になる)と、ここにまで至ると社会風刺も強烈過ぎて絶句。 山奥の村は、人間と四つ足たちの関係が近いですねぇ。(笑) 最終章については、もはや語る言葉もありません。 四人組、怪しむ/四人組、夢を見る/四人組、豚に逢う/四人組、村史を語る/四人組、跳ねる/四人組、虎になる/四人組、大いに学習する/四人組、タニシと遊ぶ/四人組、後塵を拝す/四人組、危うし!/四人組、伝説になる/四人組、失せる |