高千穂 遥
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1951年愛知県名古屋市生、法政大学社会学部卒。小説家・脚本家・漫画原作者。在学中の72年アニメーション企画・制作会社<スナジオぬえ>を設立。77年<クラッシャージョウ>シリーズ「連帯惑星ピザンの危機」にて作家デビュー。80年よりユリとケイの二人組を主人公とする<ダーティペア>シリーズをスタート。SFファンの圧倒的支持を得る。


1.
ペタリング・ハイ

2.
ダーティペアの大跳躍

  


       

1.

「ペタリング・ハイ Pedaling High ★★


ペタリング・ハイ

2017年11月
小学館刊

(1500円+税)



2018/03/11



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4月から国立にある大学の新入生となる日夏竜二、調布市の深大寺でアパート暮らしをするに当たり、準備を整えるため1ヶ月前に名古屋から東京に上京。
通学用の自転車を手に入れようとしますが、伯父からもらった従兄の自転車は錆だらけ。修理を頼もうと
深大寺サイクルショップに赴いたところ、いきなりロードバイク(自転車)のレーシングチーム“調布ゴブリンズ”に所属するという3人(名の知れたエッセイストの塩山京之介、プー太郎という勝俣登、そして大学3年生という秋嶺麗)に取り囲まれます。

あれよあれよという間にロードバイク購入(ママチャリのおまけ付き)を決断させられ、さらに翌日からの練習メニューまで。
さらに当然のごとく調布ゴブリンズに加入させられ、房総で行われるペアレースに代理として出場することまで決定してしまう。
極めて強引な展開ですが、元々テニスで鍛えた竜二、運動は嫌いではなく負けず嫌いとあって、調布ゴブリンズのおじさんたちに仲間入り。
しかも、その身体能力の高さと性格を見込まれ、皆から楽しみだと期待される形。だからこそ練習はますますハードになり、一方ライバルとなる同い年の
御園生圭も登場し・・・・。

思いっきり体育系のスポーツ小説。
メンバーの多くはおじさんたち(おばさんも含む)とはいえ、趣味のレベルではなく本格派。
スポーツ小説特有の爽快感に加え、スピード感も相当なもの。
ロードバイクの詳細についても相当な割合で説明が加えられているため、その点でも実にリアルなストーリィ。

主人公である竜二の奮闘ぶりも読み応えたっぷりなのですが、それ以上に彼を囲むおじさんたちの熱さがもう半端ではない! 圧倒されるばかりです。
おじさんたちの熱い期待に押されて竜二が熱走する最後のレース場面は真に圧巻!
スポーツ小説がお好きな方に、是非お薦めです。

1.調布ゴブリンズ/2.ライバル/3.ポタリング/4.二時間エンデューロ/5.ゴールスプリント

       

2.

「ダーティペアの大跳躍 ★☆


ダーティペアの大跳躍

2018年12月
早川書房

(1400円+税)

2020年10月
ハヤカワ文庫



2019/03/23



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“ダーティペア”という名前だけは知っていましたが、実際に読むのはシリーズ第8弾となる本作が初めて。
きっかけは、新聞の書評で好評されていたから。

銀河連合に付属する公共事業機関である
世界福祉事業協会、略してWWWA。その理念統括局に所属するトラブル・コンサルタント(通称:トラコン)の2人が、本シリーズの主人公であるケイユリ
本人たちは自分たちの宇宙船<ラブリーエンゼル>と同じ名前で呼ばれたがっているようなのですが、毎度トラブルを解決する以上の騒動を巻き起こすため、
“ダーティペア”という呼び名が定着した、ということのようです。

銀河系最強最大の広域犯罪組織ルーシファが惑星ダバラッドを乗っ取り、そこで時空間大跳躍(ハイパーリーブ)の違法実験を行っているらしいとの情報が寄せられます。
今回コンピュータが指名したトラコンは、ケイとユリのダーティペア。早速2人が調査に赴く、というのが出だし。

ところがバカ研究者の
ラーヤナが実験を強行し、ケイとユリ、2人が伴った人工生物ムギ、そしてラーヤナは異世界に吹き飛ばされてしまいます。
そこは、独裁者である神皇配下の大将軍である、ケイとユリそっくりの
ケイイユリリが存在する異世界。
2人は神皇派と反乱軍の争いに巻き込まれ、ケイイとユリリと組み合わせを入れ替えながら、また人工生物
ウギギーを加え、巨大怪獣とも闘うといった、スケールの大きなSFドタバタ活劇を繰り広げます。

梶尾真治「サラマンダー殲滅といった作品と比べると、かなりコミックス的なSF作品ですね。
でも、ドタバタ劇といっても良い味を出しており、それなりに楽しめました。
※終盤の激戦、ケイが傍観者的に挿入する擬音が愉快。


1.異世界なんか、行きたくない!/2.巨大怪獣ってなんなのよぉ!/3.あんたがケイイで、こっちがユリリ?/4.見せてもらうわ、赤い甲冑の性能ってやつ!

   


  

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