2002年3月
講談社刊
(1700円+税)
2005年3月
講談社文庫化
2002/04/29
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交通課巡査を主人公とした警察物語。
サスペンスもの警察小説と異なり、ほのぼとしたところ、青春小説の味わいもありそうだと期待して読んだのですが、正直言ってがっかり。
すべてにわたって踏み込み不足、という物足りなさが残ります。
主人公の生稲昇太は、22歳、愛宕南署の交通課事故係に異動したばかりの巡査、という設定です。自他共に認めるブ男ですが、その上不器用極まりなく、おまけにすぐカッとする(良く言えば)熱血漢。
しかし、なんで?と思うばかりの不器用ぶりは、何処かあざとさを感じます。また、登場する愛宕南署の面々については、味のある人物も僅かにいるものの、ひととおり浚っただけという印象、つっこんで描くところはありません。とくに、先輩警官・見目のクールぶりはつまらないし、昇太が憧れるマドンナ・大西碧は、何のために登場したのか不思議に思うくらい。
交通課事故係の仕事を覗き見るという興味はありますが、それだけではつまりません。これが第一作で、シリーズものの幕開け作品というならともかく、これ一冊ではあまりに物足りない。
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