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「櫓(やぐら)太鼓がきこえる」 ★★ 小説すばる新人賞 | |
2023年02月
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大相撲、相撲部屋に所属する“呼出”を題材にした、青春お仕事小説。 主人公の橋本篤(あつし)は17歳、有名大学進学→役所か大手企業に就職という両親の押しつけに勉強が嫌いとなり、進学した二流高校を不登校となり、結局中退。心配する叔父の勧めで、元小結=霧昇の<朝霧部屋>に呼出見習として入門します。 そうした経緯ゆえに確かな目標を持てず、自分にもまるで自信が持てずという状況。 しかし、中卒で入門したため同い年だが兄弟子となる直之や、ベテランの幕内呼出である進さんらに励まされ、同じ部屋の幕下・序ノ口段階の弟子たちにも教えられることの多い日々。 何につけても下手でしかない篤を、ファンです、応援していますと言ってくれる女性が現れたりして、徐々に篤の仕事に対する姿勢も変わっていき・・・。 青春成長&お仕事小説、という一言に尽きる作品。 呼出の兄弟子たちも、同部屋の弟子たちも、まだまだ下の段階。幕内を活躍舞台にするには、皆々一層の努力が必要です。 各界におけるそうした半人前たちの世界を知る楽しみが、本作にはあります。 そして、それ以上に気持ち良く、楽しいのは、呼出の兄弟子や個性的な同部屋の相撲弟子等々との、切磋琢磨し合いながらも仲間意識に繋がった密な関係。 楽しく明朗な小説が大好きな方に、お薦め。 秋場所/九州場所/初場所/春場所/夏場所/名古屋場所 |