鈴村ふみ作品のページ


1995年鳥取県米子市生、立命館大学文学部卒。「櫓太鼓がきこえる」にて第33回小説すばる新人賞を受賞し作家デビュー。2021年02月現在境港市在住。

 


                   

「櫓(やぐら)太鼓がきこえる ★★       小説すばる新人賞


櫓太鼓がきこえる

2021年02月
集英社

(1600円+税)

2023年02月
集英社文庫



2021/03/17



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大相撲、相撲部屋に所属する“呼出”を題材にした、青春お仕事小説。

主人公の
橋本篤(あつし)は17歳、有名大学進学→役所か大手企業に就職という両親の押しつけに勉強が嫌いとなり、進学した二流高校を不登校となり、結局中退。心配する叔父の勧めで、元小結=霧昇の<朝霧部屋>に呼出見習として入門します。

そうした経緯ゆえに確かな目標を持てず、自分にもまるで自信が持てずという状況。
しかし、中卒で入門したため同い年だが兄弟子となる
直之や、ベテランの幕内呼出である進さんらに励まされ、同じ部屋の幕下・序ノ口段階の弟子たちにも教えられることの多い日々。
何につけても下手でしかない篤を、ファンです、応援していますと言ってくれる女性が現れたりして、徐々に篤の仕事に対する姿勢も変わっていき・・・。

青春成長&お仕事小説、という一言に尽きる作品。
呼出の兄弟子たちも、同部屋の弟子たちも、まだまだ下の段階。幕内を活躍舞台にするには、皆々一層の努力が必要です。
各界におけるそうした半人前たちの世界を知る楽しみが、本作にはあります。
そして、それ以上に気持ち良く、楽しいのは、呼出の兄弟子や個性的な同部屋の相撲弟子等々との、切磋琢磨し合いながらも仲間意識に繋がった密な関係。

楽しく明朗な小説が大好きな方に、お薦め。


秋場所/九州場所/初場所/春場所/夏場所/名古屋場所

        


   

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