住田 祐
(すみだ・さち)作品のページ


1983年兵庫県生。会社員。2025年「白鷺立つ」にて第32回松本清張賞を受賞し作家デビュー。同作は 第174回直木賞候補作に。

  


       

「白鷺(はくろ)立つ ★★      松本清張賞


白鷺立つ

2025年09月
文藝春秋

(1600円+税)



2025/12/24



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時代及び舞台は、江戸後期、比叡山延暦寺(天台宗)
そこで行われていた回峰行の中で、特別に過酷と言うべきであるのが、<
千日回峰行>。
単に過酷であるだけでなく、行満できなかった場合には自害することになっている、というのですから。

冒頭、主人公である
恃照が、その千日回峰行に挑んでいます。
5年700日の回峰行を終え、最も過酷な<堂入り>の最終日、しかしその途中、恃照の足がぐらつく・・・。
失敗すれば自害するのが千日回峰行の定めである一方、比叡山には恃照を死なせるわけにはいかないという秘密があった。

恃照と同じ秘密を抱える若い僧が
戒閻
この戒閻、恃照が住持を勤める玉照院に付属させられ、恃照の弟子という立場に。しかし、ことごとく恃照に反抗的な態度をとるばかりか、千日回峰行を行満し“大阿闍梨”となり、自分の存在を広く知らしめるという立身欲を露わにします。

千日回峰行にまつわる二人の僧、恃照と戒閻の相克はいったいどのような展開を見せるのか。

この二人のぶつかり合いが、本当に凄まじい。迫力、緊迫感、重圧感と、これがデビュー作とは信じられないくらい。
そして戒閻の口の利き方が、何と憎らしく、如何に人の心を抉ってくるものであることか。

最後の最後まで、少しも息をつかせず、かつどういう結末になるのか全く予想もつかず。
この迫真性は、必死のサスペンスさながらです。
ただし、千日回峰行も結局は昇進、名を残すためのものかと思えてしまい、感動を覚えるには至らず。

※なお、作中に登場する
憲雄、聖諦、真超という大阿闍梨は、実在の大行満のようです。

序/妙案/蠢動/血縁/傑僧/感得/発願/出峰/点睛/結

           


  

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