祐光 正
(すけみつただし)作品のページ


1959年東京都生、都立工芸高校デザイン科卒。CFプロダクション勤務を経て、久保田眞二名義にて漫画家として活躍。2005年「浅草色つき不良少年団」にて第44回オール読物推理小説新人賞を受賞し、07年同作品の単行本化により作家デビュー。

  


 

●「みみらく遊撃隊−幕末幻島海戦記−」● ★☆




2010年06月
文芸春秋刊

(1600円+税)

 

2010/07/10

 

amazon.co.jp

歴史上古くから伝わる幻の島、ニライカナイ、八重山、弥勒、蓬莱、等々。
琉球王朝の幼王・尚泰王が昏睡状態に陥ったのは、霊魂(マブイ)を落としたから。そのマブイを取り戻すため、玉川王子は双子の巫女(ノロ)ユーリユーマを伴い、ニライカナイ(みみらく島)を目指します。
ひょんなことからユーリとユーマを助けたのが、江戸の道楽者4人組。大店の隠居で大金持ちの椿屋久兵衛、旗本の次男坊で竹光剣術の達人=竹光左衛門こと武居美津左衛門、岡っ引の金三に、その配下=かけら屋の巳之吉
暇だからとこの4人、双子の少女を助けてはるばる江戸から薩摩へ、さらに琉球へ。そしてみみらくを目指して広大な海洋へと乗り出します。
無限の力を手に入れるため一行に脅威を与えつつ、やはりみみらくを目指そうとするのが、島津斉興にとりいった兵道家=反魂入道。死人を操る死人傀儡(くづつ)、女体に蟲を仕込んで操る人蠱(じんこ)と奇怪な忍呪の遣い手。
さらに幕府大番組の腕達者たちが2組をさらに追うという展開。

伝奇小説から海洋冒険小説、さらに伝説の島探し(これが実に奥深い)という冒険ファンタジー、それら要素をごちゃまぜにした時代物海洋冒険ファンタジー小説。
相当なごちゃまぜですが、それにも関わらず本書を楽しく読めるのは、各々の持ち味がバラエティーに富む、お江戸の道楽者4人をキャラクター故でしょう。
それにしても“みみらく”の舞台設定、壮大に過ぎるのでは?と思いたいくらい。

山田風太郎ばりの伝奇小説白石一郎海洋冒険小説の面白さを合わせ、さらにユーモアを振りかけた、といった作品。
ですから、面白いかどうかは、読む人の好み次第。

道楽遊撃隊、西へ/道楽遊撃隊、海へ/道楽遊撃隊、琉球へ/道楽遊撃隊、みみらくへ/道楽四人組、江戸へ帰る

 


  

to Top Page     to 国内作家 Index