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「母さんは料理がへたすぎる」 ★★ おいしい文学賞 | |
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本書題名、そして第1回「おいしい文学賞」受賞作となれば、当然ながら料理好きの息子が主人公となり、料理を主体にしたストーリィと思う処ですが、料理は重要な要素であるにしろあくまで本作は家族の物語。 3年前、交通事故にあって一家の主夫だった父親=武蔵が死去。 残されたのは家事苦手で一家の稼ぎ手である母親=山田琴子、長男の龍一朗、三つ子の妹(透・蛍・渉)という面々。 自分がやるしかないと料理・家事を引き受けた龍一朗、今ではすっかり亡父に似て料理上手になりましたが、青春最中の悩みや葛藤にも無縁・・・ではない。 各篇の主人公は順繰りに交替していきます。 冒頭の「母さんは・・・」は龍一朗、次いで妹の透、亡き父親の武蔵、龍一朗に戻って、その後は蛍、母親の琴子、最後は再び龍一朗という展開。 各人それぞれ、様々な想い、悩みを抱えているというドラマが展開されていきますが、龍一朗はそれなりに、琴子は当然に。 そして、三つ子たちの行動ぶりが、おしゃまで可愛く、楽しい。 ただ、かなり粗削りなところがあり、評価はどうしようかと迷ったのですが、後半に龍一朗の友情物語が披露されたことから、納得したうえで★★に。 青春、友情、そして料理、感謝すべき人への感謝、とうまくまとめられ、満足して読了に至りました。あー楽しかったです。 母さんは料理がへたすぎる/ないないづくしの女王さま/待ちぼうけの幸せ/プレゼント/ウソつきたちの恋/春が生まれる/母さんの料理がへたすぎて |