清水晴木
(はるき)作品のページ


千葉県出身。2015年「海の見える花屋フルールの事件記〜秋山瑠璃は恋をしない〜」にて長編小説デビュー。

  


       

「分岐駅まほろし Junction Station Mahoroshi ★☆   


分岐駅まほろし

2022年11月
実業之日本社

(1600円+税)



2022/12/18



amazon.co.jp

分岐駅まほろし>とは、人生の分岐点へ戻る、その出発点となる駅。その駅には月替わりの駅員がいて、分岐点に戻るのを手伝ってくれます。
ただし、まほろし駅へ行くことができるのは、3つの条件を満たした場合だけ。
本書は、現在に後悔の念を抱え、あの時違う選択をしていたら、と思う人たちを描く連作ストーリィ。

あの時、ああしていたら、こうしていたら現在はもっと良かったかもと思ったことは、数えきれない程あります。
でも、過去を変えてもその後どうなったか判らないと思えば、それ以上強く願うことはありませんでしたね。

過去の分岐点に戻り、違う選択をした場合の体験はできても、実際に現在へ影響することはない、現在は変えられない、というのが本作のミソ。
でも、現実は変えられなくても、考え方、思いを変えることはできます。選択可能な分岐点は、今ここにある、ということでしょう。
各篇に登場する<駅員>とはどんな存在なのか。それは最終篇で明らかにされますが、その仕掛けが巧妙で面白い。
 
彩坂美月「思い出リバイバルと似た処がありますが、ミステリ要素の有無、誰でもそう思ったことがある筈、という点で読んだ印象は全く別の連作ストーリィです。

1.もしもあの時、告白してたら/2.もしもあの時、第一志望の大学に合格していたら/3.もしもあの時、夢を追わなければ/4.もしもあの時、病院に連れて行っていたら/5.もしもあの時−−

           


  

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