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1.カタブツ |
●「カタブツ」● ★ |
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2008年07月
2009/06/13
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地味で生真面目な人々にスポットを当てた、ミステリ風味の短篇集。 生真面目過ぎる主人公たちだからこそ、可笑しくも哀しくもある展開になってしまう。 そんなところが、本短篇集の味わいです。 収録6篇の趣向は様々ですが、「駅で待つ人」「とっさの場合」を除く4篇は恋愛絡み。 「無言電話の向こう側」は、ストイックな思考の持ち主に親近感を覚えますが、結局肝心なところで抜けているところに、ほっとする可笑しさあり。 「とっさの場合」は、愛する息子が死ぬ夢を繰り返す見てしまう主婦が主人公。 バクのみた夢/袋のカンガルー/駅で待つ人/とっさの場合/マリッジブルー・マリングレー/無言電話の向こう側 |
●「脇役スタンド・バイ・ミー」● ★★ |
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2009/05/30
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ごく普通の人々を主人公にした連作ミステリ。 といってもありきたりのミステリとはちょっと一味違う。 ストーリィ構成が面白いのです。 平凡な暮らしを送っている主人公たち。それがふと気づくと事件犯人にされかかっていたり、アリバイ証人になっていたりと、事件に巻き込まれてしまっていることに気付く。 7篇の中、ストーリィとしては「鳥類憧憬」と「聴覚の逆襲」が私は好きです。その一方、本書では各篇主人公のキャラクターの面白さも見逃せません。その点では「迷ったときは」の花梨が図抜けていて、「聴覚の逆襲」「裏土間」も愉快。 単純な連作ミステリに見せかけて、意外に深い味わいを隠している。沢村凛さん、ちと癪な作家です。(笑) 鳥類憧憬/迷ったときは/聴覚の逆襲/裏土間/人事マン/前世の因縁/脇役の不在 |
●「ディーセント・ワーク・ガーディアン The Decent Work Guardian」● ★☆ |
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2014年12月
2012/02/17
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主人公は労働基準監督署の主任監督官。 という訳で本作品、お仕事小説であると同時に社会的なストーリィです。 ※「ディーセント」とは、主人公曰く“真っ当な”という意味。 労働基準監督署と言えば普通、税務署と並んで嫌われる役所でしょう、私のサラリーマン経験からして。 その心は、少なくとも前者は仕方ないと思う他ない役所であるのに対し、後者は余計な役所、というのが一般的な認識でしょう。 その代表者とも言うべき主任監督官をどう描くのか。興味はそこにありますが、仕事が仕事だけに面白く盛り上がるとはとてもいきません。 それでも、嫌われようが何しようがそういう正論もある、とは納得できるところで、それなりに勉強になる内容になっています。 ところが第3話、第5話となると、親友である現職刑事に頼み込まれ、あれれ?という展開。 さらに第6話に至ると、お仕事小説でこんなことがあっていいのか?!と思えるショッキングな出来事が待ち構えていた上に、さらにそれを越える絶体絶命の危機が主人公の身の上に降りかかります。 ミステリ、サスペンスといった彩も加えてそうした面白さもある作品になっていますが、私としては純粋お仕事小説の方が良かったなぁと思う次第。 1.転落の背景/2.妻からの電話/3.友の頼み事/4.部下の迷い/5.フェールセーフの穴/6.明日への光景 |