佐藤いつ子作品のページ


青山学院大学文学部卒。IT企業勤務後、創作活動開始。


 


                    

「透明なルール ★★☆


佐藤いつ子

2024年04月
角川書店

(1500円+税)



2024/05/15



amazon.co.jp

主人公は、中二の佐々木優希。母親が小四の時に病気で死去し、今は父親との二人暮らし。
自己評価が低く、学校では目立つことがないよう、自分らしさを抑えて過ごしている。

しかし、名門と言われる中高一貫校から転校してきた
米倉愛がふと放った、「クラスに35人いれば、35通りの心がある」という言葉に衝撃を受けます。・
そして、運動も、人前に立つのも苦手という同級生で同じ生徒会役員の
荻野誠、それでも彼は自分を偽ろうとはせず、いつもマイペース。
そんな二人と触れあったことで、優希の心にも変化が生じていきます・・・。

今の中学生たち、グループに入れてもらえないと学校生活がツライ、だから仲間たちに合わせようとする、という気持ちはわかるなぁ。
本作では、“同調圧力”という言葉で語られています。
でもそれを超えて、見えないルールを自ら作ってしまい、自分で自分を縛り付けてはいないだろうか、というのが本ストーリーのテーマです。

自分らしさを出せず、我慢してばかりだったらこんなに辛いことはありません。
伸び伸びと自分らしく成長して欲しい、そういう作者の願い、エールが籠められた作品。 お薦めです。

※本作に登場する
北側という中年男性教師、なんて時代錯誤的な人間かと笑えるほど。一方、優希たちクラスの担任で、教師二年目の女性=辛島、彼女の突然の告白には驚かされました。

       


   

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