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1.ぼくらのサイテーの夏 2.楽園のつくりかた 4.バラ色の怪物 5.サンネンイチゴ 9.空色バトン |
●「ぼくらのサイテーの夏」● 絵:やまだないと ★★☆ |
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2005年02月 |
階段落ちゲームで意地になって腕をねんざし、ギプス固定。さらに危険な遊びの罰として、夏休み4週間のプール掃除を命じられる。おかけに、プール掃除のコンビ相手が、怪我の原因となったノッポの栗田とは。 小学校6年生のぼく(桃井)の夏休みは、サイテーと言いたくなる状況で始まります。 栗田の家庭状況は、カテイホウカイ、ハハイエデ、デッカイヤシキにネズミウジャウジャ、という噂。しかし、ぼくの家も、優等生だった兄貴が引きこもりとなり、それ以来母親も年中具合が悪いし、問題ないとは言えない状況。 そんな主人公が、最初は嫌っていた栗田と夜の散歩中に偶然出会って以来親しくなり、栗田との付き合いを通じて一歩成長するストーリィ。 |
●「楽園のつくりかた」● ★★☆ 産経児童出版文化賞 |
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2005年06月
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東京から転校した先は村の分校。しかも、同級生3人はヘンな奴ばかり。そんな中学2年生、星野優の孤軍奮闘を描いたストーリィ。 東京で進学校に通う優は、両親の突然の決断により、父親の故郷へ引っ越すことになります。一人暮らしの祖父が呆けてきて放っておけないというのがその理由。有名校合格を目指す優は抵抗しますが、軽く一蹴されてしまう。商社マンである父親は外国赴任中のため、とりあえず母親と優の2人で田舎行き。 いざ転校してみると、分校の同級生は3人だけ。しかも、バカ丸出しの地元っ子と、だんまりとオカマの山村留学生2人という最悪の組み合わせ。 そんな分校生活の中、優の振舞いは都会風を吹かして鼻につくばかりですが、意に反して田舎生活に放り込まれた優の気持ちも判らないではない。半ば同情を感じます。 ところが、そんな同情が吹き飛んだのは、分校内でのふとしたいさかいから。あまりのショックに、私自身呆然としてしまいました。 その後紆余曲折がありますが、都会生活で行き場を失った3人+1人に、此処では優しさ、明るさが感じられることが嬉しい。 どんなところが楽園なのか、改めて考え直してみた方が良いのかもしれません。 本書は、大人にとっても読み甲斐のある児童向け小説です。 |
●「ぼくは悪党になりたい」● ★★☆ |
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2007年06月 |
主人公の兎丸エイジ17歳はごく普通の高校生。 そんなエイジの気持ちにスッと共感できる。そこに本作品の良さがあります。 |
●「バラ色の怪物」● ★☆ |
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2007年07月 2004/08/24 |
主人公は、母子家庭の中学2年生、遠藤トモユキ。 他の作品に比べてもうひとつすっきりしないストーリィですが、主人公の遠藤、吉川ミチルの伸びやかさが好ましい。 |
●「サンネンイチゴ」● ★★ |
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2009年06月 2004/10/25 |
本書の主人公は森下ナオミ、中学2年生の女の子。 学校や自分の家の中でも縮こまってばかりのナオミが目を丸くしているうちに、アサミやヅカちん、アサミの兄のシュウスケにまで及ぶ友人関係の中に巻き込まれます。 成長物語と一口に言ってしまうとありきたりかもしれませんが、ナオミにおける内心の言葉と現実のギャップ、ナオミとアサミ、ヅカちんという3人の関係がとても楽しい。 |
●「世界がぼくを笑っても」● ★★ |
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2014年03月
2009/07/09
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3歳の時に母親が家出して以来父子家庭。そのうえ、その父親がいい加減な男だったために貧乏家庭。おかげで友達付き合いもろくに出来ず、主人公の北村ハルト(温人)は一匹狼タイプ。 前年“浦沢中の破壊神”を自称する問題児のおかげで女性教師が長期休養となり、代わりに担任となった臨時教員は、噂と違ってどうしようもなくやぼったく、ドジのうえに頼りない。 もうどうしようもない、というところまで落ちた、と感じる。 孤高タイプのハルトを主人公にしたことから、キリリと小気味良いストーリィになっているところが、本書の魅力。 一応児童向け作品なのでしょうけれど、大人が読んでも気持ち良く面白い。お薦めです。 |
●「今夜も宇宙の片隅で」● ★★ |
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2009/08/08
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主人公はバラバラだし、ストーリィもこれといって繋がるところはないし、何ともつかみどころのなく、これって?と思ったのですが、幻が次第に実体をまとっていくように、読み進むにつれ各ストーリィに共通するものが見えてきます。 てんでバラバラな人間たちなのに、ちょっとしたことで繋がっている。そんな仕組みが判ると、世界全体が楽しく感じられるようになるから不思議です。 どうしてこの組み合わせ?と皆が驚くシュン・相沢・御園の3人組も好きですが、妖精が見えるという向井ハルカ&その家族と原田との遭遇的な関わりも楽しい。 |
8. | |
「家元探偵マスノくん−県立桜花高校★ぼっち部−」 ★☆ |
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2014年05月
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高校入学式の夜、自宅でのお祝いメニューに食あたり、数日後やっと登校した頃には既にクラスの女子グループ分けは終わっており、倉沢チナツは外れ者。 仕方なくいつも裏庭にある用具置き場の屋根の下で弁当を食べていたところ、声を掛けてきたのはやはり一年生のマスノくん。 彼の招きに応じて出向いた先の地下室にいたのは、第二演劇部の一人部長=西園寺ユリヤに、戦士部の一人部長=田尻サトシ。 そして中心人物というべき増野シンイチロウは“いけばな雪宝流”の次期家元にして探偵部の一人部長。 さらに自称=架空の生命体、実はパソコン越しに仲間として参加している“スカイプ”にチナツも加わって、“★ぼっち部”の全メンバーという次第です。 どちらかというと、ごく普通の中学生仲間からはぐれた個性的な生徒たちが集まっての、愉快な迷探偵&迷活躍ストーリィ。 花形みつる「アート少女−根岸節子とゆかいな仲間たち−」を思い出しますが、本作品ははるかに穏やか、地味で密やかという印象です。 そんな彼らでも、一緒にいてくれる仲間たちがいれば、高校生活も楽しいと言えるかも、といったストーリィ。 1.友だちがいない五月/2.マスノくん最初の事件/3.歓迎されない三通のメール/4.ぼくは行間が読めない/5.秋の通り道/6.マスノくん最後の事件/7.後日談的ななにか |
「空色バトン」 ★★☆ |
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2013年12月
2011/07/03
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高校生セイヤの母親ショーコが、40歳で突然人生終了。 性格も歩む道も全く異なる4人が、お互いの繋がりを育て、かつ守ってきた姿が楽しい。 セイヤ、妹のマドカ、吉野ミクの姿がそれぞれ清々しく、読了後の気分は青空のように爽快です。 サドルブラウンの犬/青の女王/茜色図鑑/ぼくのパーマネントイエロー/パステル・ストーリー/マゼンダで行こう |