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1.神も仏もありませぬ 2.シズコさん 3.役にたたない日々 |
●「神も仏もありませぬ」● ★★ 小林秀雄賞 |
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2004/07/11
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「まさか私が六十三? 当り前で何の不思議もないのに、どこかに、えっまさか嘘だよなあと思うのが不思議である」という一文から始まるエッセイ集。 5年程群馬の山の中で暮らしているという佐野さんの日常は、開き直った観があって明るく、心強い。 これはペテンか?/ありがたい/今日でなくてもいい/虹を見ながら死ね/声は腹から出せ/フツーに死ぬ/そういう事か/それは、それはね/そうならいいけど/納屋、納屋/フツーじゃない?/じゃ、どうする/何も知らなかった/山のデパートホソカワ/出来ます/他人のうさぎ/謎の人物「ハヤシさん」/金で買う/あとがきにかえて |
●「シズコさん」● ★★☆ |
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2010年10月
2008/05/15
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年老いて呆けた母親を老人ホームに入れる、そのことについての内心の葛藤を語った一冊。 「私は母を金で(老人ホームに)捨てた」と認識するところから始まる内心の痛みと、あんな母親の面倒など見てられるか、という思いの相克がそこにはあります。 佐野さんの場合は極端かもしれませんが、親を大事に思う一方で憎む部分もある、というのはむしろ普通のことではないでしょうか。 |
●「役にたたない日々」● ★★ |
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2008/06/12
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女も68歳過ぎて、ババアと自覚したらもう怖いものは何もない、とさては開き直ったのか!という観ある、日記風エッセイ集。 そう思ったら、本書の「役にたたない日々」という題名は凄いものだと思えてきました。最初は、だらだらと過ごす程度の意味と受け留めていたのですが、自嘲も混じえながら自らの日々を切って捨てて平然としている観があるのです。その覚悟の程、小気味良し。 しかし、これだけ長寿社会となった日本にあってみれば、六十八歳という年齢、まだまだという年齢でもある筈。 宣告されてかえって“役にたたない日々”が“輝かしい日々”に変わり得た、というなのでしょう。 |