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●「サキモノ!?」● ★★ |
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2010/01/29
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“サキモノ”と言えば先物商品取引。 さて、そう聞いて皆さんはどう感じるでしょうか。きっと、良い感じは持たない筈。いかがわしい感じを覚える、というのが殆どの人の印象でしょう。 それは私も同じ。まずは近寄らないに如かず、です。 そんな先物業界の会社=魁コモディティに新卒で入社したのが、本書の主人公、青木照子。 面接、採用の仕方からヘンな感じは持ったものの、実際に入社した後の職場は、まさ修羅場。 一日中、立ったままのテレマーケティング、残業は当たり前、昼休み抜きも普通。セールス相手の迷惑などお構いなし。ただ「うん」と言わせて新規顧客を上げれば良し、上げなければろくでなし、給料泥棒、という風。 それでも、違法かと言えば、先物取引自体は合法ですし、結局セールスに応じるかどうか、損するか得するかは顧客側の問題といえば、理屈上はその通り。 そんな業界で照子、何故頑張るかといえば、それは仕事だから。そして、自分の壁を突き抜けられるかどうかは、どんな仕事でも共通することだから、と言えるでしょう。 誰が考えても、本書を読んでも、いかがわしさプンプンのサキモノ会社。そんな場所で照子がどう頑張るのかを描き、見事なお仕事小説に仕立て上げたところに喝采を送りたい。 無茶苦茶言う上司たちにもまれながら、どこか強かで、愛嬌もある照子のキャラクター、いかがわしさを超えて魅力です。 |