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「ブラザーズ・ブラジャー Brother's Brassiere」 ★★☆ 氷室冴子青春文学賞 | |
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3歳の時から父子家庭のちぐさ、高校一年生が主人公。 ところが突然に父親の悟くんが瞳子という女性を紹介してきたと思ったら、あれよあれよという間に再婚、瞳子とその息子=中三の晴彦という家族が増えることに。 ふと知ってしまったことは、その晴彦がおしゃれだからという理由でブラジャー好き、しかも何枚も持っているとは! 父子家庭である故にずっとスポーツブラで通してきたちぐさ、付き合っている相手もいるしこのままではいけないと、晴彦にブラジャーの買物に付き添いを頼むのですが・・・。 コミカルな家族譚と思う処ですが、いやいや、ブラジャーという小道具に迷わされていけません。 本作はれっきとした、ちぐさと晴彦の青春&成長ストーリィなのです。 友達でも恋人でもない、でもそれよりずっと近い存在。ちょっと前までは全くの他人、でも今は姉弟。 そんなちぐさと晴彦の関係を主軸としている処が、とても良い。 親に言えないでいること、でも同年代の家族?だから言えることもある、言えないで抱えてきたことを遠慮なく批判できる? 友人関係にさえ臆病なところがあるちぐさに対して、晴彦の方がずっと大人、という印象で、これでは姉の立つ瀬がないではないか、と思うのが前半。 ところが、一旦ちぐさが暴走しだすと、ぐいぐい相手の懐に攻め込んで、もう喝采を挙げたい面白さ。 ちぐさと晴彦、それぞれ屈折した出来立ての姉弟ですが、2人のキャラクターが実に良い。 2人の会話がとても魅力てきなのです。 題名だけ見てしまうと、男性読者は手に取るのに躊躇するかもしれませんが、躊躇せず手を伸ばしましょう。 お薦めです。 ブラザーズ・ブラジャー/ブラザーズ・ブルー |