蘭 郁二郎
作品のページ


1913〜44年 東京都生、東京高工の電気学科卒。SF作家、推理作家。本名:遠藤敏夫。31年「探偵趣味」の掌篇探偵小説募集に「息を止める男」が佳作入選し作家デビュー。35年同人誌「探偵文学」の創刊に参加。その廃刊後は「シュピオ」誌上で活躍。38年より科学小説の方面でも人気を博する。44年太平洋戦争の報道班員として南方へ向かう途中、飛行機事故で死去。享年31歳。

  


       

「地底大陸 ★★


地底大陸

1969年
桃源社

2018年08月
河出書房新社

(1650円+税)



2018/09/24



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1938年4月号から39年3月号まで「小学六年生」に連載された古典的SF小説の復刊。
さすがに古いですよね〜、太平洋戦争前ですから。

蒙古大平原へ鉱脈探査のために派遣された
大陸探検隊。世界的に有名な科学者=寺田博士の率いるその探検隊に、愛弟子の大村雪彦、その親友である北川青年もその助手として参加。
その蒙古大平原、雪彦たちは男装の美少女指揮官=
アスリーナが率いる秘密結社「ゲーウー団」に遭遇します。
そしてその後、地底から聞こえる不思議な音を調べるためゴンドラで降下しようとしていた3人ですが、そこにアスリーナと部下の
バブリンが強引に乗り込んできたことから、ロープが切れゴンドラは落下。
雪彦たちが意識を取り戻すと、そこは太平洋から大陸の地下に亘る広大な地底大陸だった・・・・。

そこは科学が発達した世界ということで、次々と科学機器がこれでもかという具合に登場します。
人造人間(ロボット)、空気鉄道、電磁鉄道、電気銃、水中鉄艦(潜水艦)、透視器、無線飛行機、超音波X号、等々と。
当時の子供達、本作を読んでさぞワクワクし、興奮したことと思います。
今はSF小説、私の子供の頃は“空想科学小説”と呼ばれていましたけれど、本作はまさにそのとおり。縦横無尽、目一杯に空想を描き広げた、という具合です。

一方、満州国とか帝都、皇軍などの言葉は、まさに戦前らしい。
また幾ら何でも、と思う点は、地底大陸と言いつつ、人造人間以外に登場するその住民は2人(
紅皇帝とその妹の瑠璃姫)だけ。全体でもたった7人なのですから、相当にコンパクト。

なんだかんだ言いつつも、こうした作品があったのだと、読めたことは楽しかったです。

コナン・ドイル「マラコット深海」や、E・R・バローズ「地底世界ペルシダー」を思い出させられました。

大陸探検隊/無頼漢の群/男装の少女/鉱脈探査機/少女指揮官/地下一千米/墜落する五人/地底大陸/名は三二四号/地底の花園/空気鉄道/紅皇帝/敵地へ行く/腕ずくでも通る!/人間タンクの大軍/無線飛行機/海底に突出せ/あっ、貴方は/海底の怪物/電気銃の威力/首府の危機/危機一髪/空気鉄道の異変/精巧な水中鉄艦/海底の奇観/「金色の手帳」/水底格納庫/瑠璃姫の失踪/超光線透視器/どちらが偽者/囚えられた瑠璃姫/死か?生か?/闇黒の焦熱地獄/蘇った瑠璃姫/「蒸発しましたッ」/あっ、君は?/迫り来る大軍/ドアを破れッ!/奇蹟の蒸発/飛ぶエレヴェーター/空中曲馬団/引力遮閉機/幸?不幸?/新製・食糧丸/術中に落入る/超音波X号/防ぐ方法がない/臨時ニュース/空襲下の帝都/乱れる編隊機/戦いのあと

   


  

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