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「ビギナーズ家族」 ★★ |
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パートナー関係にある男性2人が、幼い子どもの養育を引き受けることになり、3人で新しい家族を作ろうと頑張っていく姿を描いた長編。 極めつけのセレブの家に生まれ育った大田川秋は、飲食ベンチャー企業の経営者かつエッセイスト。 その秋のパートナーは、関西人で神奈川県立の特別支援学校で体育教師をしている中島哲大。2人は青山のマンションで同棲、既に渋谷区にパートナーシップを登録済。 そんな秋にふっと湧いた出来事は、両親が離婚して以来20年以上も会っていなかった父親が癌で死去し、後に2歳となる異母弟の蓮を遺します。 その蓮と養子縁組をして義父となり、生活を切り替えた秋は、幼稚園の送り迎え等々、母親業に精を出しますが・・・。 ストーリィは、母の知香、姉の春も卒業した名門=慶心学院初等部入学を目指すという、“お受験”がメインになります。 その前門となる私立幼稚園や受験塾の入園を巡り、多額の寄付金や付け届け等々が飛び交い、庶民にはまるで手の届かない世界のことと呆れる思いがしますが、名門すなわち保守的な学校が果たして秋と哲大、そして蓮というパートナー家族を受け入れるのかどうか。端的に問われる場面として、お受験が設定されたのでしょう。 同性パートナーなんて神さまが許さない、と頑なに認めようとしない人たち。それと反対に、秋と哲大の関係を積極的に認めようとする人たち。 まさに現時点における日本社会の様相、それを象徴するものかもしれません。 秋と哲大が一方的に蓮を守っている、という訳ではありません。蓮の存在によって秋と哲大も親になれた、親として育てられているという関係です。 “家族”とは何なのでしょう。お互いに大事な存在と思い合い、一緒に支え合って暮らしていこうとする関係、それが家族でなくして何でしょう。 寛容性のある社会が望まれます。 プロローグ/第1章〜第4章/エピローグ |