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1.翔べ!わが想いよ 2.長崎ぶらぶら節 |
●「翔べ!わが想いよ」● ★★ |
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1991年10月 2003年12月 |
一度読み出したら止まらなくなり、あっという間に読み終えた一冊。本書は、なかにしさんの自伝エッセイです。
冒頭、旧満州で生まれ育ったなかにしさんが、日本の敗戦により追われるように故郷(旧満州)を捨て、日本に逃げ帰るまでの一家の苦闘が語られています。 また、作詞家として順調以上にヒットを飛ばし続けたなかにしさんに、立教大学に折角入学しながら授業料が支払えずに何度も退学の憂き目にあった過去、目指した訳でなく食べていく為にシャンソン訳詞の道に踏み込んだこと。最初の妻との葛藤、それを経て作詞家の道へ進んだこと等々。思いもよらないその軌跡に、頁を繰る手を止めることができません。 |
●「長崎ぶらぶら節」● ★★ 直木賞 |
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2002年10月 2003年10月 |
長崎の丸山に実在した名妓・愛八の半生を描いた小説です。
長崎の町学者を自称する古賀は、裕福だった実家の蓄財を傾けて長崎研究に打ち込む人物。その古賀から誘いを受け、愛八は2人で、長崎の忘れ去られようとしている古い唄を探し回ります。そして、“ぶらぶら節”を見出し、それを広めるに至るストーリィです。 |
●「てるてる坊主の照子さん」● ★☆ |
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2003年8月
2003/12/29 |
なかにしさんの奥さんの実家を描いた家族小説。 春子・夏子・秋子・冬子という四姉妹が登場しますから、帯の宣伝文句“なにわの若草物語”も間違いではないのですが、もっぱら中心になるのは、母親・照子と、長女の春子、次女の夏子の3人。 次女の夏子が歌手→女優のいしだあゆみ、語り手となる四女の冬子が(デビューしてすぐなかにしさんと結婚して引退した)石田ゆりとなれば、読み手の興味を惹くのは当然のこと。 戦後の高度成長期にある関西を舞台に、照子さんを中心とした、笑いと涙、そして出世欲も執念もあり、という家族物語。 |