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1.天使の歩廊 2.ロスト・トレイン 3.クロノスの飛翔(文庫改題:伝書鳩クロノスの飛翔) |
●「天使の歩廊−ある建築家をめぐる物語−」● ★★☆ 日本ファンタジーノベル大賞 |
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2011年06月
2008/12/25
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建築をテーマにしたファンタジーというので何やら難しそうと思い込み、見送ってしまうところだったのですが、思い直して読んだところこれが大正解。いやー、読み逃さないで良かった。 読み出してすぐストーリィに惹き込まれます。
そもそもストーリィの構成からしてお見事、素晴らしい。 単なるファンタジー物語を超えて、壮大な構想を背景にした魂の救済ストーリィ、そして歴史、建築エンターテイメント! −明治14年−/冬の陽/鹿鳴館の絵/ラビリンス逍遥/製図室の夜/天界の都/忘れ川/−昭和7年− |
●「ロスト・トレイン」● ★☆ |
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2012年05月
2009/12/13
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日本国内の某所に、まだ誰にも知られていない廃線跡がひっそりと眠っている。その廃線跡へ行って始発駅から終着駅まで歩くと、驚愕するような奇跡が起こるという。 親しくしていた60代の男性が突然に姿を消す。きっとその廃線跡を訪ねて行ったに違いない。 う〜ん、本書、読者の好みによって評価が2つに分かれるような気がします。 前半は、消えた男性を探すため、彼の知り合いの鉄道オタクたちを2人が訪ね歩くという展開。 舞台は岩手県。宮沢賢治の銀河鉄道に想いを馳せると、ファンタジー性はさらに膨らみます。 |
●「クロノスの飛翔 Chronos Flying」● ★★ |
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2014年04月
2011/06/13
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片や安保騒動冷めやらぬ昭和36年、その時代の主人公は明和新聞の記者、坪井永史。 片や平成23年、現代での主人公は、旧館取り壊し準備作業のため明和新聞に臨時に雇われた溝口俊太。 主との強い絆を力に、伝書鳩クロノスが50年という時を超え、2つの時代を跨って飛翔する、というストーリィ。 軍隊で軍鳩係だった坪井、戦後入社した明和新聞の屋上にある鳩舎で、かつて愛した軍鳩のクロノスとそっくりの雛鳥を見出します。 2代目のクロノスと名付けられたその鳩は、かつてのクロノスと同様に、飛翔能力・帰巣能力ともに抜群の能力を示します。 一方、坪井は山岸葉子という女子大生から、安保問題に絡む貴重な情報を入手します。ところが坪井、その事件に巻き込まれて窮地に。 その坪井の熱い思いを受け、日本の危機を救うため、今クロノスが坪井の手から飛び立ちます。 歴史的サスペンスにSF的要素を持ち込んだストーリィ。いくらSF的とはいえ、論理を置き捨ててしまったような展開には疑問符をつけざるを得ないのですが、それを超えたロマンが本ストーリィにはあります。 坪井とクロノスの強い絆、その絆を源に力強く羽ばたき、空高く飛翔するクロノスの勇姿。そして、坪井から託された必死の思いを果たすため、クロノスは時間さえも超えて飛翔します。 クロノスを主観的に描いた部分は僅かながら、本作品の魅力はこのクロノスという類稀な伝書鳩の存在に尽きます。 クロノスあってのロマン、クロノスの存在こそロマン、と言って良いでしょう。 クロノスが体現するロマンこそ、本歴史的サスペンスの魅力。 |