中原昌也作品のページ


1970年東京都生。2001年「あらゆる場所に花束が・・・」にて三島由紀夫賞、06年「名もなき孤児たちの墓」にて野間文芸新人賞を受賞。映画評論家として「エーガ界に捧ぐ」「シネマの記憶喪失」等の著書がある。また、ミュージシャン(Hair Stylistics 名義)としても活躍中。

  


 

●「ニートピア2010」● 




2008年02月
文芸春秋刊

(2000円+税)

 

2008/03/31

 

amazon.co.jp

率直にいって、何が何だか判りません、この短篇集。

ストーリィ自体、まずまともに進行することがない。
出鱈目というのではなく、ハチャメチャ。
時間的前後、主人公が誰かという設定、もう何もかも飛び越えてしまっていて、もう何でもあり、という感じ。
ここまで来ると、結局、何だって小説にでっちあげることはできるし、小説なんてどんな風もだって在り得る、と実証してみせたとしか思えない。
それを裏付けるように、幾つかの篇の中で、小説書きという仕事を貶め、呪い、そしてまた「自己実現だけのために書いている」ような人たちを罵る、といった風。
それこそが本書の意味なのか。

本書を手にとってすぐ気づくことは、表紙に作家名が大きく、題名が小さいこと。
本書は収録作品に意味があるのではなく、本書中の幾つもの短篇を通じて作者が訴えようとしていることに意味があるのかも。

それにしても読んでいてストーリィが全く頭の中に入って来ず、悩ましかったこと、悩ましかったこと。
これから本書を読もうとする方がいたら、是非覚悟の上で読むことをお勧めします。そうでもしないと、ストーリィについていけない自分の頭を呪いたくなります。(苦笑)

舞台動物/怪力の文芸編集者/ブン殴って犯すぞ!/誰が見ても人でなし/中間小説/声に出して読みたい名前/フンペ・フンペ/ニートピア2010/忌まわしき湖の畔で/誰も映っていない/事態は悪化する/新売春組織「割れ目」/放っておけば、やがて未来

 


  

to Top Page     to 国内作家 Index