永井紗耶子(さやこ)作品のページ


1977年神奈川県生、慶応義塾大学文学部卒。新聞記者を経てフリーランスライター、新聞、雑誌等で幅広く活躍。2010年「絡繰り心中」にて第11回小学館文庫小説賞を受賞し作家デビュー。

 


                   

「大奥づとめ ★★★




2018年07月
新潮社刊

(1600円+税)



2018/08/17



amazon.co.jp

50人もの子を生したことで有名な徳川11代将軍・家斉の御世における<大奥>を舞台に、大奥で働く様々な女性たちを主人公にした連作もの時代小説。

大奥での出世といえば、上様の御手付きとなり、若君や姫君を産むこと、と思われがちですが、いやいやそんなことはない、というのが本作の真骨頂。
そもそも大奥の女性1千人とも言われる中、いくら家斉とはいえ御手付きとなる女性などほんの僅か。
それ以外の女性は、大奥の中での出世を目指す、そうした女性の方がずっと多い、とのこと。
まさに江戸時代における、才覚ある女性たちの“お仕事小説”と言うべき作品。

そうした内容の作品と判ったうえで読み始めたものの、読み始めてすぐその面白さに興奮、躍り上がって喜びたいくらい、という程魅了されました。
「男は己の家格より出世を望むことはできませんが、大奥の女の出世は才覚次第とか」、いやーグサリとくる言葉ですね。

出世争いといっても、本作においては陰険さや刺々しい雰囲気は殆どありません。むしろ、からりと明るい感じ。
普通の暮らしを捨てて大奥に入るからには、どこか悩みや問題ごとを抱えていた筈。
そんな女性たちの姿が、これ以上ないと言っていいくらい生き生きと描かれていているうえに、ストーリィ展開そのものも真に痛快にして小気味良く、実に爽快。
そのうえ、それなりの高位の職にある先輩女性たちの言葉が、人生訓、処世訓としても、実にお見事!

着目点、構成力、人物造形とも素晴らしく、新鮮な面白さをたっぷり堪能しました。
これはもう、絶対お薦め!


※6作いずれも秀逸なのですが、中でも
「ひのえうまの女」「つはものの女」に魅了され、登場人物としては御末であった夕顔の大ファンになりました。是非お楽しみに。

ひのえうまの女/いろなぐさの女/くれなゐの女/つはものの女/ちょぼくれの女/ねこめでる女

        


   

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