永井みみ作品のページ


1965年神奈川県生。ケアマネージャーとして働きながら執筆した「ミシンと金魚」にて2021年第45回すばる文学賞を受賞し作家デビュー。

 


                   

「ミシンと金魚 ★★☆       すばる文学賞


ミシンと金魚

2022年02月
集英社

(1400円+税)



2022/04/09



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年を取っていけば記憶もあやふやになってくるし、身体の動きも不自由になり、やがて認知症も・・・。
年を取ってもそんな風にはなりたくないとは誰もが思うことでしょうけれど、こればかりは如何ともし難い。

本作はその渦中にある
安田カケイさんの語りによる小説。
冒頭は、そんなカケイさんの心の中の声が描かれます。
言葉に上手く出せないからといって、胸の内では結構、饒舌。ヘルバーの「みっちゃん」らとのやりとりが面白い。

その「みっちゃん」から、
「カケイさんは、今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」と訊かれます。
そこからカケイさんの自らのこれまでを語っていくのですが、その何と凄絶な人生であることか。
継母から薪で頭を叩かれ続け、犬のだいちゃんの乳を飲み「かあちゃん」と呼んでいた、兄が借金の形にカケイを押し付けた亭主は失踪、子どもを育てるため必死でミシンを踏み続け・・・。
「ミシンと金魚」という題名の意味は後半になって分かるのですが、何ともやりきれない痛みを感じます。

しかし、年を取って頭の動きも鈍って来れば、悔いを抱えつつも諦め、それが自分の人生だったと達観できるのでしょうか。

来たるべき日々を描いたストーリィ、圧巻です。

        


   

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