村田沙耶香
(さやか)作品のページ No.2



11.
となりの脳世界

12.生命式

13.丸の内魔法少女ミラクリーナ

【作家歴】、ギンイロノウタ、星が吸う水、ハコブネ、タダイマトビラ、しろいろの街のその骨の体温の、殺人出産、きれいなシワの作り方、消滅世界、コンビニ人間、地球星人

 → 村田沙耶香作品のページ No.1

 


           

11.
「となりの脳世界 ★☆


となりの脳世界

2018年10月
朝日新聞出版

(1400円+税)

2021年11月
朝日文庫



2018/10/28



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作家デビューしてから15年間に亘りあちこちで書かれたエッセイをまとめて収録した一冊とのこと。
初エッセイ集と思いきや、
きれいなシワの作り方を読んでいますので、私としては2冊目のエッセイ集。

「まえがき」によると村田さん、自分ではない誰かの脳を借りて、そこから見える世界を覗いてみたいなあと、いつも思っているそうです。
まずは、ご自分の脳の中はこんな世界です、と披露する気持ちを込めてつけられたのが本書タイトルとのこと。

読んでみれば、子供の頃から村田さん、奇妙な考え方をしたりしていたと言っていますが、そう奇矯ということもない、というのが私の印象。
打ち明けるのも恥ずかしい思い違いや、どうしていいか分らず人の真似をしようと様子見したりと、自分もそうだったと思うことが、幾つもあります。
素人は恥ずかしいから忘れておこうとするもの。一方、プロ(作家)はそれをネタにエッセイを書く、それだけの違いだろうなぁと思います。

【日常について】
「ルール人間」:女性の試着室には、フェイスカバーなんていうものがあるんですねー。知らなかった。
「タイムスリップコーヒー」:カフェとかでつけられる紙コップ上のプラスチック蓋。私もあれ、そのまま飲むのは苦手で、いつも取って飲みます。
【好きなことについて】
「文庫本が並ぶ本屋の想い出」:私も中学生の頃、文庫本を買おうと本屋さんに行くときは、いそいそ、わくわくしたものですが、村田さんが握りしめたのは5百円玉とのこと。私の場合は百円だったなぁ。時代の違いですね。
【散歩、旅することについて】
「村田沙耶香的、空想東京さんぽ。」に掲載された作品は、寓話的掌篇という印象です。

小さい頃について/日常について/好きなことについて/散歩、旅することについて

                

12.
「生命式 ★★


生命式

2019年10月
河出書房新社

(1650円+税)

2022年05月
河出文庫



2020/01/20



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村田さんらしい、刺激的・衝撃的な作品集。

何と言っても表題作
「生命式」に圧倒されます。
“葬式”に対比する意味で“生命式”。亡くなった人の為大勢が集まって・・・する儀式。またそれと併せて参加者の一部で行われるのが・・。
さすがにこれはと思ったものの、皆が和気藹々と楽しそうに儀式を行っているので気味悪さといった印象はありませんが
「素敵な素材」と合わせ、近未来小説というべきか。いや、通常の世界と別の見方がある世界の話と受け留めるべきなのでしょう、そう思います。
<近未来>というより<異形>へと進んだ世界、という印象。

よくまぁ考えつくものだなぁと思いますが、これまでの村田沙耶香作品を振り返ると、当然に行き着いたものでしょう。

他の篇はといえば、やはり近未来的なものを感じさせる
「素晴らしい食卓」の他、これまでにも描かれてきた、普通の世間と相容れないところのある主人公たちを描いた篇、等々。
「かぜのこいびと」には、タダイマトビラを思い出させられますし。

ただ、私の個人的な好みの問題なのでしょうが、(辛いとか暗いとかとは別の意味で)読んでいて楽しい、と感じるところが余りなかったんだなぁ、残念ながら。


生命式/素敵な素材/素晴らしい食卓/夏の夜の口付け/二人家族/大きな星の時間/ポチ/魔法のからだ/かぜのこいびと/パズル/街を食べる/孵化

               

13.
「丸の内魔法少女ミラクリーナ ★★


丸の内魔法少女ミラクリーナ

2020年02月
角川書店

(1600円+税)

2023年02月
角川文庫



2020/05/15



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このところ、読了後には暗い気分になってしまう作品が続いていましたが、本書収録4篇はいずれもユーモラスな要素を感じるもの。
それでも近未来的なストーリィ2篇は、やはり村田沙耶香さんらしい作品、と感じる次第です。

「丸の内魔法少女ミラクリーナ」:36歳のOL=茅ヶ崎リナは、小3の時から今に至るまでずっと魔法少女ごっこを密かに続けている。元魔法少女仲間だった親友のレイコ、その恋人の正志に異常な振る舞いが多いことから、別れたくなかったら魔法少女になれと正志に条件を提示したところ・・・・。
「秘密の花園」:女子大生の千佳、初恋の想い出にしたいと頼み込み、早川君に一週間の監禁を応諾してもらうのですが、千佳の本当の目的は・・・。

「無性教室」:ユートが通う高校は、校内において性別禁止。性別が分からないような制服に、一人称は「僕」というルール。そんな学校ともなれば、生徒同士の恋愛もかなりややこしい。
ユートが好きになった同級生=セナは、果たして男子なのか女子なのか・・・。
「変容」母親の介護が一段落し、40歳になって再びファミレスのウェイトレスとして働くことに復帰した真琴。困惑したことは、若い同僚たちが<怒る>という感情を知らないこと・・・。

丸の内魔法少女ミラクリーナ/秘密の花園/無性教室/変容

    

村田沙耶香作品のページ No.1

     


   

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