木宮条太郎
(もくみやじょうたろう)作品のページ


1965年兵庫県生、金融機関で15年勤務。2003年第12回新人シナリオコンクールにて佳作、05年第6回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。

  


     

●「アクアリウムにようこそ」● ★☆
 (文庫改題:水族館ガール)


アクアリウムにようこそ画像

2011年03月
実業之日本社
(1600円+税)

2014年06月
実業之日本社文庫

 

2011/05/13

  

amazon.co.jp

千葉県湾岸市役所に勤めて4年目の嶋由香が主人公。
観光事業課に所属する事務系女子だったのにもかかわらず、先方からの名指し要請だと、市の外郭団体である
「市立水族館・アクアパーク」に1年間の出向を命じられます。
訳の判らないまま水族館に出向くと、与えられた仕事は現場、何と
イルカ課。イルカの個体識別から始まり、給餌、そしてトレーニング(実質はイルカのトレーニングではなく、由香のトレーニング)等々。
4歳年上の同僚=
梶良平は無愛想極まりなく、何もかも初めての仕事はうまくいかないことばかり。由香にとっては過酷で辛い毎日が続きます。

水族館を舞台にした、珍種のお仕事小説+主人公=由香の青春・恋、というストーリィ。
何と言っても興味は、水族館業務の苦労話等々、我々の余り知らない水族館の裏事情を知るということに尽きます。
元々イルカは遊び好きで、イルカライブ(ショー)はその遊び好きな性格を活用したものという。そのイルカたち、由香に対して結構いたずらも仕掛けます。
その他、愛嬌のある仕草とは対照的なラッコの実態、また観客である人間によってもたらされる海獣たちの危険等も描かれます。
真に興味は尽きません。
その一方、由香の恋ストーリィ部分は、かなり強引という印象を拭えません。

本書の面白さは、水族館というお仕事小説部分に尽きます。
本書を読んで水族館めぐりをすれば、きっと新たな楽しみ方が得られることと思います。 

 


  

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