11. | |
「高校入試 シナリオ 」 ★☆ |
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2016年03月
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2012年10〜12月、フジテレビで10回に亘り放映された連続TVドラマ(主演:長澤まさみ)のオリジナルシナリオ。 名門県立高校の入試当日、「入試をぶっつぶす!」という何者かによる貼り紙、そして試験終了後に答案用紙が1枚不足、その一方で白紙の答案用紙が発見されるという事態が発生。 最後は思いもかけない展開となりますが、こうした仕掛けを私自身が余り好きではないこともあって、スッキリしないところが残ります。 物語の果てしなさ(湊かなえ)/人物相関図/第1話〜第10話/スペシャル対談(湊かなえx長澤まさみ)/インタビュー(出演者10名)/他 |
12. | |
「絶 唱」 ★★ |
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南太平洋の国トンガ、その首都があるトンガタプ島へ様々な思いを抱えてやってきた女性たちが、この地で再生に向けて踏み出す姿を描いた連作短篇集。 「楽園」の主人公は大学生の雪絵。20歳を目の前にして自分の心を取り戻そうと、この島にやってきます。 本短篇集で印象的なのは、舞台となるトンガに暮す人たちの温かさです。 |
「未 来」 ★★ | |
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「絶唱」を読んだ後、湊作品はもういいかなと思い(策を弄し過ぎていると感じるようになったので)、その後の作品はずっと読んできませんでしたが、「告白から10年、湊ワールドの集大成!」という宣伝文句を信じた訳ではないものの、ちょっと惹かれてもう最後、という気持ちで手に取りました。 「序」は、2人の少女がドリームランド(TDLがモデルでしょう)へ行こうと夜行バスに乗り込むところから。 その後、そこに至るまでの、主役である少女=章子、章子に関わりのある人物、計4人による<語り>という形式でストーリィが綴られていきます。 語りという形式は、デビュー作「告白」と同様、その辺りは湊さんらしいと感じます。 父親が早くに病死し、精神的に不安定な母親を懸命に支えようとする10歳の章子ですが、クラスのボス的女子からイジメを受けたりと厳しい状況。 そんな章子にある日、20年後、今は30歳という未来の自分から手紙が届きます。未来からという証拠に同封されていたのは、ドリームランドの30周年を祝う記念グッズ。 登場人物の一人が語っていくという形式ですから、当人が知らない事実は語られません。 しかし、それに続く別の人物がその知る事実を語り、繰り返されることによって全ての真相が明らかになる、という複層的な構成になっています。 しかし、重要なことは過去に起きた出来事の真相よりも、彼女たちの未来でしょう。 未来からの手紙の真相は何か、章子たちに未来への希望は開けるのか。 そして、本作に篭められたメッセージは何か。 そのメッセージこそ、本作の核心と言うべきでしょう。 様々に悩み、苦しみを抱えている少年少女たちに、是非受け取ってもらいたいメッセージです。 序章/章子/エピソードT/エピソードU/エピソードV/終章 |