南 綾子作品のページ


1981年愛知県名古屋市生。2005年「夏が終わる」にて第4回“女による女のためのR-18文学賞”大賞を受賞。


1.
ほしいあいたいすきいれて

2.婚活1000本ノック


3.知られざるわたしの日記

 


   

1.

●「ほしいあいたいすきいれて」● ★☆


ほしいあいたいすきいれて画像

2007年02月
新潮社刊

(1200円+税)



2007/03/30



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“R-18文学賞”大賞を受賞した短篇「夏が終わる」と中篇の「ほしいあいたいすきいれて」の2篇を収録。
どちらも、まずセックスありき(必ずしも本人の望むところではないのですが)という若い女性が主人公。
もっと自分を大切にしろよ、と言いたくなる切ないストーリィ。私はこうした類のストーリィ、好きではないんですよ。じれったくて怒りを入れたくなって。とはいいつつ、少しは明るい兆しが感じられて、一応ホッとした気分で読み終えました。

「夏が終わる」は、処構わず相手構わずセックスをやりまくっているが主人公。不倫相手の恋人である吉井さんに、会いたいという気持ちを言葉にできない自信の無さがセックスやりまくりに繋がっているらしいのであるが、小学生に姿を借りた“セックスの神様”がそんな彼女を叱咤するという構成がジ〜ンと来ます。

「ほしいあいたいすきいれて」は、「どうして男って付き合い始めると、あたしに風俗をやれと迫るのだろう」と首をかしげるが主人公。
同棲相手の大輔はお前に稼がせようとしているだけなんだよ、というのに、彼は優しいからと純は本気で考えてしまう。その純が偶然知り合ったのは、本当の伯父とセックスしているという小学生の亜咲。亜咲は純の方が自分より不幸だーッと思って安心しようとし、純は大人ぶる亜咲が可哀相に感じられて放っておくことができない。
そんな純と亜咲の姿とその行動は、バカとしか言いようがないけれど、とても健気でエールを送らずにはいられません。
それなりに騒動が決着した後の2人の姿には思わずホッ。 

夏が終わる/ほしいあいたいすきいれて

      

2.

「婚活1000本ノック」 ★☆


婚活1000本ノック画像

2014年12月
新潮社刊

(1500円+税)



2015/01/25



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南綾子、自称:エロ作家、32歳。
依頼された小説の取材目的もあったが、本気で結婚相手を探そうという気持ちもあって、あらゆる種類の婚活にいそしんだそうです。
本書はその実体験に基づく小説とのこと、なんとまぁ・・・。

釣り合った異性と知り合う機会に恵まれ、すんなり恋愛結婚できてしまえば簡単なのでしょうけれど、そういう機会がないと中々難しいのは事実でしょうね、結婚って。
私が若い頃勤務した職場では女性社員の新規採用が多かったので、その頃は職場内結婚が多かったのですが、バブル崩壊以降パート社員への切り替えが進むと若い女性が少なくなり、男性社員の結婚が中々進まなくなったという状況がありました。
閑話休題。
本書ストーリィを読む限り、結婚話が進まないのは南さん自身にも相当問題点があり、と感じさせられます。面白くなくても堅実という男性より、クソ男のリスクがあっても見た目に魅かれてしまう。すぐ誘いに乗ってしまう、等々。
その度にクソ男の山田に忠告されるのですが、衝動的な行動ぶりは少しも改まらずといった風。
自虐的ユーモア+現代婚活の実証見聞という面白みに加え、きちんとストーリィを読み取れば反面教師という要素も備えているようです。

「クソ男・オブ・ザ・イヤー」:ヤリ逃げされた相手=山田クソ男28歳が恨んだ女に刺され殺されたと幽霊になって登場、南さんの婚活への助言役を買って出ます。
「うにとかんぴょう」・・・・・お料理合コン
「なんかムリ、なんかイヤ」・・お見合いパーティ
「誰が不良債権」・・・・・・・お見合い(1対1)
「生きてるように生きる」・・・婚活サイト
「お見合い戦争」・・地方自治体主催のお見合いパーティ

1.クソ男・オブ・ザ・イヤー/2.うにとかんぴょう/3.なんかムリ、なんかイヤ/4.誰が不良債権/5.生きてるように生きる/6.お見合い戦争

               

3.

「知られざるわたしの日記−ベテラン処女の最後の一年− ★☆


知られざるわたしの日記

2017年11月
双葉社刊

(1500円+税)


2017/12/28


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勅使河原一子、36歳、未だ処女。
「熊本城も真っ青の鉄壁と化した下半身に男性を受け入れることを一年の目標」として打ち立て、日記をつけ始めると共に、なりふり構わぬ行動へ・・・。

あけすけな言葉がのっけから飛び出し、留まるところなし。
それだけ焦り、なりふり構わずという一子の心情が露わになっているということなのですが、それにしてもなぁー。
まぁ、<日記>ですから。

ブスでデブであることが敗因なのか。いやいやこの一子、自分の姿を正しく認識していないし、思い込みは強固だし、なんとか〇〇〇を努力はするものの、〇〇〇したいと思われるような努力は何もしていないし。
しかし、何故か終盤、漫才コンテストに出場することになり、そこに至って初めて我が身を振り返るという風で、一歩前進。
最後、期待は盛り上がるのですが・・・。

本ストーリィを読んで、あぁなんて奴だ!と呆れられるかもしれませんが、真剣に暴走する一子を笑うことなどできません。
一子に幸あれ。それなりに面白く読みました。

   


   

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