●｢ミッキーマウスの憂鬱｣●　★

2005年03月
新潮社刊
(1300円＋税)

2008年09月
新潮文庫化

2005/04/10

amazon.co.jp

東京ディズニーランドの裏側を舞台にした青春騒動記、といったストーリィ。

主人公の後藤大輔21歳は、派遣社員（→準社員）として憧れのディズニーランドで働くことになります。
夢のある仕事をしたいと期待に胸膨らませて初仕事に臨んだ大輔でしたが、そこは規律づくめのうえ、正社員が準社員を差別し、眼前の現実的な仕事をひたすらこなしているという、夢には程遠い職場。
そんな中、ミッキーマウスの着ぐるみ一体が紛失するという事件が発生します。

この後藤大輔という主人公、かなりのお調子者。それでもストーリィの３日間で著しい成長を遂げる、そしてその影響で他のスタッフ（「キャスト」と呼ぶそうです）の意識も変わっていく、という青春成長小説における主人公の役割はそれなりに果たしています。
とはいうものの、本書の妙味は東京ディズニーランドの裏側を垣間見ることに尽きる、と言うほかありません。