真梨幸子
(まり・ゆきこ)作品のページ


1964年宮崎県生、多摩芸術学園映画科卒。2005年「孤虫症」にて第32回メフィスト賞を受賞し作家デビュー。


1.
人生相談。

2.
ご用命とあらば、ゆりかごからお墓まで

 


           

1.

「人生相談。 ★☆




2014年04月
講談社刊
(1500円+税)

2017年07月
講談社文庫化



2014/05/11



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大洋新聞に連載されている「よろず相談室」には、様々な人から相談が寄せられる。
ひとつひとつの投稿から、その元になった悩み事の経緯を描き、そして最後には投稿への回答、というのが各篇の定例パターン。
いずれも現代社会において如何にもありそうな、そしてどれも面白そうな相談事ばかり。したがって当然ながら、その回答にも興味を惹かれます。

よろず相談室への投稿者は、男性かもあれば女性からもあり、さらに年齢の点からも実に幅広い。
であれば当然に、人生相談をモチーフにした人生ドラマを描く連作短篇集・・・・と思いきや、各篇に登場する人物はかなり共通しています。むしろ登場人物の環は次第に広がり、それぞれの登場人物は複雑に絡み合う関係であることが次第に分かってきます。
そして、彼らの相談事の背景に、20年も前に起きたある会社の横領事件があることが明らかになっていきます。
連作短篇集と思っていたところが、意外や意外、連作風のその陰に驚くべき長編ミステリが隠されていた、という次第。

思わず呆気に取られてしまった、という結果なのですが、それが面白いかどうかはまた別のこと。
所詮は好みの問題なのですけれど、そうミステリに思い入れがない私としては、余りに込み入り過ぎていると思わざるを得ず。
その結果どんな面白さがあるのかというと、込み入った仕掛けがなされているということに留まる、と感じます。


居候している女性が出て行ってくれません/職場のお客が苦手で仕方ありません/隣の人がうるさくて、ノイローゼになりそうです/セクハラに時効はありますか?/大金を拾いました。どうしたらいいでしょうか/西条秀樹が好きでたまりません/口座からお金を勝手に引き出されました/占いは当たりますか?/助けてください

            

2.
「ご用命とあらば、ゆりかごからお墓まで−万両百貨店外商部綺譚− ★☆




2018年01月
幻冬舎刊

(1400円+税)



2018/02/23



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百貨店の外商部を描いた連作ものというと思い出すのは、高殿円「上流階級−富久丸百貨店外商部−。同作とはまた異なった趣きの作品だろうとは思いましたが、そこはやはりお仕事小説ではあるのだろうと、何となく思い込んでいました。
しかし、何とまぁ、同じようにコミカルな面もあるにはせよ、こんなブラックな内容だとは!

それこそ真梨幸子さんらしい、と言うべきなのでしょう。
最初こそ、登場人物の勘違いや惑わせる設定があって、ややコミカルな展開。それがいつしか(読み手が油断している間に)、ブラック傾向へと雪崩打っていく、という印象。
百貨店外商部という“お仕事”に何故そんな展開がパズルのようにピタッと嵌ったのかというと、お客さまから依頼されたらどんなことにも応じるのが外商部、というのが本作のコンセプトになっているから。
本作を気に入るかどうかは、好みによる差が大きいように思います。私はというと、このブラックさには少々辟易する処。

万両百貨店の外商部員として
森本歌穂、根津剛平、小日向淑子という面々が登場しますが、最後に彼らを易々と凌駕して見せるのは、トップセールスレディの大塚佐恵子
「タニマチ」:お客様の要望とあれば、ファンクラブ作りも、そのタニマチ探しさえもしてのける。
「トイチ」:「トイチ」とは上得意のこと。ご要望があれば、世間知らずであるお嬢様に社会体験のための仕事斡旋も。
「インゴ」:お姫様狙いを捨てて凡人女性を選んだ外商マン、まさかその相手が〇〇と知ってか知らずか・・・。
「イッピン」:他社外商部との戦いはここまで凄絶?
「ゾンビ」:金持ち同士の怨念も凄絶。外商レディが目撃。
「ニンビー」:一旦お客様となれば、そこまでやるのか?
「マネキン」:損するだけの客と思ったのに・・・。
「コドク」:「コドク」とは蟲毒。大塚佐恵子の凄さは、ここに極まれり。

1.タニマチ/2.トイチ/3.インゴ/4.イッピン/5.ゾンビ/6.ニンビー/7.マネキン/最終話.コドク

         


   

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