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「勿忘草をさがして Searching for Myosotis」 ★☆ 鮎川哲也賞優秀賞 | |
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ちょっと気分を変えたく、軽いミステリでもと思い、手に取った作品です。 花、植物をモチーフにした、高校生を主人公にした軽快な連作ミステリ。 主人公は、高二の森川航大。ある事情からサッカー部を退部し、今は“帰宅部”。 一年前、自転車で転んだ時に親切に手当てしてもらったおばあさんにきちんとお礼を言いたいと、その家を探している途中で知り合ったのが、お喋り好きな園原菊子と、その孫で菊子と同居し亡き祖父の代わりに庭の植物の世話をしている大学生の拓海。 航大が通っている高校、友人たちに絡んで遭遇した、植物にまつわる謎を、航大が拓海の助言を受けながら解決するというパターン。 植物がモチーフであるという以外は、多数ある青春ミステリものと格別に異なるということはありませんが、「ツタと密室」に添えらえたメッセージは良いなぁ。 なお、最後の「勿忘草をさがして」は、拓海が抱えた問題に航大が手を差し伸べようとする篇。 どうなるものかとハラハラさせられましたが、意外にも、洒落た落ちでした。 読後感は、これからの日々に希望を感じさせてくれる、気持ちの良いものでした。 春の匂い/鉢植えの消失/呪われた花壇/ツタと密室/勿忘草(わすれなぐさ)をさがして |