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1.負け逃げ 2.仕事は2番 3.君に言えなかったこと |
1. | |
「負け逃げ」 ★★☆ | |
2018年04月
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“女による女のためのR-18文学賞-読者賞”を受賞した「僕に災い」を始まりの篇とした、連作短篇集。 |
「仕事は2番 WORK IS THE SECOND」 ★☆ | |
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たかが仕事、されど仕事。 会社員たるもの、仕事が嫌だからと放り出せるものではないからこそ、悩みも苦しいことも多いという次第。 本作、仕事等々で不器用極まりない会社員たちを連作風に描いたお仕事小説。 中心となる舞台は、吉丸事務機という株式会社です。 それにしても各章の主人公たち、あまりに不器用過ぎるのではないか。ちょっと行き過ぎでは、と感じる程。 人によって苦手なことがあるのはもう仕方ないことですが、そこから逃げちゃダメでしょ。 吉丸事務機というこの会社自体が、余りに拙い、と感じるばかりです。 仕事に苦労の多いこと、理不尽なことが多いのも当然のことですが、本ストーリィには幾らなんでもなぁと感じる処が多。 ・「走れ、中間管理職」:主人公は総務課で<課長補佐>という中間管理職の職にある女性、中間優紀。 皆のことも考えて真面目に勤めているのですが、課長と同僚女子たちの間で板挟み・・・。 ・「スポットライト」:総務課長の内野努。部下たちに馬鹿にされているのは判っているが、自分の精一杯のところで頑張っているつもり。 ・「エールはいらない」:優紀と同期入社で仲の良い温水沙也。厳しい指導をしていた先輩女子の米沢仁美、産休明けで出勤してくると、それまでの働きぶりとは一転・・・。 ・「親子の条件」:営業課長の岸慎太郎。仕事では有能、かつ部下からの信頼も厚いのですが、家庭内では・・・。 ・「輪になって踊ろう」:優紀を追い詰めた2年目社員の真咲かおり。元々人の輪に入れない人間と、自分でも自覚・・・。 ・「最後の日」:吉丸事務機から清掃作業等を請け負っているビル管理会社に勤める立科幸雄。退職直前の日々、社長からヒキコモリの息子の教育を託されるのですが・・・。 走れ、中間管理職/スポットライト/エールはいらない/親子の条件/輪になって踊ろう/最後の日 |
「君に言えなかったこと」 ★★ | |
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大事な相手に言えなかった思い、言葉について綴ったストーリィ6篇。 う〜ん、言えなかった言葉、沢山あります。でも言葉って、そう易々と口に出せない、そこまで自分を開けっぴろげにできないよなぁという気持ちがあります。 本作で言えなかったことを後悔する主人公たち、それらの姿は私自身の姿でもある、とつくづく感じる次第。 でも、後悔のない人生なんてあるのだろうか・・・。 ・「君に贈る言葉」の主人公は山口奈々子。真壁しおりは小3以来の親友ではあるけれど、いろいろ紆余曲折あり・・・。 ・「待ち合わせを君と」は小野寺。遊園地で学生時代に一時付き合っていた、でもひどい別れ方をしてしまったしま子と偶然に再会します。 ・「君のシュートは」は遠藤夏生。お互いに苦手な相手同士、でも親友のふりをしようと約束したバスケ部の同期である島谷奏と最後の試合で・・・・。 ・「君はアイドル」は主婦の千絵。地下アイドルに夢中になり、そのシューそっくりと思った相手は・・・。 ・「君の正しさ」はフリーターの芦屋浩平。恋人の明日花は浩平と反対に、真面目でいつも一生懸命な女性・・・ ・「君に言えなかったこと」は成田あかり。母親が死去した後の実家の片づけを義父の一彦と共に・・・。 君に贈る言葉/待ち合わせを君と/君のシュートは/君はアイドル/君の正しさ/君に言えなかったこと |