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「君の名前の横顔」 ★☆ |
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父親が死んでから5年、20歳になった牧野楓の家族は、義母である三好愛と異母弟の冬明・10歳の2人だけ。 その冬明、他の小学生たちに比べると少し変わったところがあったが、最近、怪物ジャバウォックに○○を盗まれた、と口にするようになります。 その「ジャバウォック」とは、「鏡の国のアリス」に登場する詩に謳われた怪物。 冬明の言葉の意味は? そして、世界が変化していく・・・。 ミステリか、それともファンタジーなのか?と戸惑いましたが、結局は家族ストーリィ。 それが伝えられるまでに何と遠回りさせられたことか、というのが正直な思い。 ストーリィとしても、ジャバウォックの実像化に成功しているとは思えませんし、楓たち家族の周辺に登場する人物たちも息吹きが感じられず、単に状況のひとつになっているだけ、と感じられます。 着想としては悪くない気もするのですが、それが十分生かされなかった物足りなさと、そもそもストーリィが分り難い、といった処を残念に思います。 プロローグ/1.私は七年ほど牧野として暮らした/2.ガリレオ裁判の真相/3.病の一覧にはないもの/4.その名前に意味はなく、意味がないことには理由がある/5.指輪を差し出した彼と、私は二年後に結婚する/6.アリスと図書館/7.私の心を守る最後の盾/8.名前のないアリス/9.夕空が綺麗なことを思いだした/10.ジャバウォック現象とそのルールの考察/11.五分間の喜びも壊れて/12.ふたつのジャバウォック/13.少年の冒険/14.もう一度この人を殺すということ/15.名前と視点/16.みんな覚えている/17.誰が為の怪物/18.視点と横顔/19.その愛情に名前がなくても/20.バールのようなもの/21.どんな世界でだって/エピローグ |