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1.走れ、セナ! |
●「走れ、セナ!」● ★★ 講談社児童文学新人賞佳作・椋鳩十児童文学賞 |
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2012年08月
2010/05/05
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小学校5年生の吉田セナは陸上部、走ることが大好きな女の子。 家族は、母一人+時々手助けに来てくれるサトルくんという叔父さんが一人。 前回の競技会では、初出場と緊張から無残な結果。きれいなフォームで走るセナは、今年こそと心に期している。 担任の新米教師ドキリンコこと桐野陽子先生が、席替え・班分けを抽選で行うと突然言い出し、セナは運悪く、恐怖のデコボココンビ+怖い女の子=インチョウで余りの班に。 そんな危機に、陸上部存続のため協力してくれたのは、何とバカにしていたデコボココンビ。 やってみたいと思ったこと、好きなことなら、素直に一生懸命やってみればいい。そうすれば、そこに何か可能性、新たな道が開けるかもしれない。 |
●「トモ、ぼくは元気です」● ★★☆ 児童文芸新人賞 |
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2010/05/09
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小学校6年生の松本和樹。本来だったら中学受験に向けた夏期講習を受けている筈だったのに、浪速の商店街で理容店を営む祖父母の下に預けられ、この夏休みを過ごすことになった。 何故なら、家をめちゃくちゃにした罪人として追放されたから。 そして今また、見知らぬ女の子に昔馴染みだといって押し掛けられ、立ち往生している。 さらに、何が何だか判らないうちに、商店街対抗の伝統の一戦、小学生たちによる金魚すくいの選手に勘定されて・・・。 如何にも大阪の浪速、という感じの小さな商店街。 表題のトモとは、和樹の障害児の兄・友樹のこと。和樹が家を出ることになった原因はそのトモのことに関係している。 この問題は、決して子供たちの世界だけのことではありません。大人の世界でも同じこと。そして、いくら理を説いても、悪意ある人間には通じない。 |
●「ストロベリー・ブルー」● ★★ |
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2013年04月
2010/04/26
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ワイワイガヤガヤした中学2年の少年少女たちの、揺れる胸の内を描く連作短篇集。
一応付き合っている関係にあるが、相手を利用しているだけという痛みを秘める理子、大事なところでしくじってしまった自分のを持て余す大介、片想いの相手に胸をときめかせる琴海、思いもかけず恋心を抱いてしまった喜びと失望を味わう綿森、孤立していく彼女を支えられなかった悔いを抱える横山と、たまたま同じクラスとなった5人各々における中学2年のある日々が、相互に絡まるようにして描かれたストーリィです。 そこから見えるのは、自分で処しきれない想いを抱えて戸惑う中学生らしい少年少女たちの姿です。 罪悪感に苦しむ芝原理子、能天気な三田村大介(陸上部)、率直で溌剌とした野田琴美(バレー部)、人付き合いに不器用な綿森美月、地味でまじめな横山晴彦(生物学部)、はぐれ者となった木崎美優、皆我々と等身大の中学生たちです。 あの中学時代が懐かしい、読後、思わずそんな気分に浸ってしまう、愛おしい思いのする青春小説の佳作。 キャッチ・ザ・サン/ロスト・パラダイス/ペテルギウスの情熱/二月のプランクトン/ストロベリー・ブルー |
4. | |
●「みさき食堂へようこそ」● ★★ |
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2012/07/14
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さきっぽ岬のさきっちょにある“みさき食堂”。 そこはハルおばあちゃんと5歳になる孫娘=たまみの2人だけで営んでいる店。 そのみさき食堂には、不思議なお客さんが時々訪れるのです。海からぶわり、ぶわりと風が吹いてくると、店の中にひょいとお客さんが現れる。 お客さんたちも、本来の居場所からヒョンとこの店に飛んできたので、面喰ったような顔をしています。 そんなお客さんたちにたまみがいつもかける説明は、「ここは、みさき食堂です。たべたいものがあるけど、わけがあってたべられないっていう人がやってくる食堂です」という言葉。 本書は、児童向けの短いお話です。 ファンタジーと現実が入り混じったような、不思議でいて、愛おしい、ちょっとしたお話。でも当の子供たちにとっては、とても大事な事々なのです。本書を読むと、当の子供たちと一緒に、心が柔らかくなる気がします。 ちょっと柏葉幸子作品と共通するものを感じます。 本書で最初にみさき食堂に現れるのは、親友の美織ちゃんとの間に起きたことを後悔する小学生のもえちゃん。ハルおばあさんがそのもえちゃんに供するのは、ココアと美織ちゃんがもえちゃんに作ってくれたのとそっくりのクッキーです。 次は、美織ちゃんのおじいちゃんである豊三さん。美織ちゃんから話を聞いて、たった一人嫌いだと思ったことのある昔の同級生のことを思い出します。ハルおばあちゃんがその豊三さんに供するのは、ほうじ茶と昔豊三さんのお母さんが作ってくれたげんこつおにぎり。 最後は、美織ちゃんやもえちゃんら同級生たちと諍いしている転校生の林田さん。それには秘密があって・・・。その林田さんにハルおばあちゃんが供したのは、ミルクティーと前の学校で親友だったすずかちゃんと一緒に食べたりんごあめ。 そして、エピローグでのたまみちゃんの姿。3つのお話とは別にこれがいいんだなぁ。読み手にも元気が出てくる気がします。 おはなしのはじめに/もえちゃんとよつばのクッキー/豊三さんとげんこつおにぎり/林田さんと真っ赤なりんごあめ/おはなしのおしまいに |