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「リズム・マム・キル Rhythm,Mum x Kill」 ★★☆ | |
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ものの見事に吹っ飛ばされた!の一言。 冒頭から凄まじいバイオレンス、そしてそれは留まるところがない。 12歳の小学生=木村るかは、朝早くアパートに押し入ってきた男に母親を刺殺?され、危ういところを逃げ出し警察に保護されたものの、再びその男=ヤタに拉致され、過酷な状況に追い込まれてしまう。 一方、名だたる政治家一族の御曹司=ジンとの腐れ縁から、弁護士の晴斗は仲間の一人であるヤタに命じて、地方紙の新聞記者であるるかの母親を襲わせ、何かの画像を収めたスマホを奪わせようとした次第。 のっけから暴力シーンで始まり、仲間同士の間で延々と暴力が繰り返されるのですから、余りの凄さに吹っ飛ばされた、という他ありません。そんな繰り返される暴力の渦中に、12歳のるかが巻き込まれるなんて・・・。 しかし、るかを捕らえたまま逃走を続けるヤタとるかの間に共感が生まれる、お互いに親から被害、無視しか受けてこなかったという点で。 えっ、いやいや、ちょっと待って。自分の母親を殺そうとした殺人者ですよ、そんな相手に共感を抱いて、さらに応援しようだなんてあり得ないでしょ。 でも、この物語の中ではそれがあり得るのですから、凄い。 いったい誰と誰が味方で、誰と誰が敵なのか・・・何が何だか分からないまま暴力の嵐が吹き荒れるのですから、ただもう翻弄されっ放し。 ただ、その中でるかが逞しくなり、人を見る目を確かなものにしていくのですから、救われます。 最後、るかとヤタの最後の場面、胸熱くなるものがあります。 12歳の少女るかの、壮絶な成長ストーリィ。 こんな小説、読んだことがない、という意味でお薦め! |