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1.どぜう屋助七 2.旅行屋さん |
| 「どぜう屋助七」 ★★☆ | |
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2017年04月
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江戸時代から 200余年続くという浅草の「駒形どぜう」、その実在の店をモデルにした歴史時代小説。 嘉永7(1854)年、黒船来航で騒がしい江戸は浅草、駒形の“どぜう屋”を16歳の世慣れぬ娘=伊代が訪ねてきたところから本物語は幕を開けます。 本書の魅力は、江戸下町における飲食店商売のワイガヤ感がどの頁からも溢れていることでしょう。 |
| 「旅行屋さん−日本初の旅行会社・日本旅行と南新助−」 ★★ | |
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日本旅行と言えば、大手旅行会社のひとつ、という程度の認識しかありませんでしたが、日本において団体旅行を始めて取扱ったのが日本旅行の前身である<日本旅行会>であり、しかもそれは伊勢神宮への参詣旅行だったとは! 本作は、草津駅設置のため土地を提供した父親=南信太郎が駅前茶店ならびに駅での弁当立売りを始めたところから、その息子である南新助が知り合いから頼まれ伊勢神宮への参詣旅を世話、それが団体旅行への開始へと繋がっていき、現在の旅行事業へと拡がっていく歴史的経緯を描いたフィクション。 新助が「旅行屋さん」と親しみをもって呼ばれ、先頭に立って奮闘していた時代、その変遷は、とにかく面白い!のひと言に尽きます。 新助に儲けようという思惑がなく、実家の商売が順調であるお返し、還元サービスというつもりだった、という処が気持ち良い。 それにしても旅行参加者が 100人とか 900人といった規模にはもう絶句するほかありませんし、知って驚くことばかり。 ひょんなことから再会し、女の世話人として新助の旅行事業において貴重な助っ人となる娘、茶良(ちゃら)の存在が楽しい。 また、途中ではアジア太平洋戦争による苦節も描かれ、本物語がまさに明治〜大正〜昭和にわたる歴史的事実だったのだと感じさせらえます。 旅行好きの方には、是非お薦め。 1.ホームに銀蛇の放列!/2.ゲオルギオスの聖剣/3.人に翼の汽車の恩/4.いざ、神都へ・・・・!/5.遠くとも一度は詣れ善光寺/6.尼公上人が尊い!/7.実録・奥羽関東廻遊旅行/8.余話として/9.旅で男を磨くのだ/10.甲板でスキヤキ大会!/11.時局をわきまえろッ!/12.焦土を汽車は走る/13.もはや<旅行屋さん>ではない/14.夢の世界一周!/15.道は、どこまでも続く |