河合二湖
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1977年山口県防府市生、慶応義塾大学文学部西洋史学専攻卒。区役所就職後中央図書館配属となり児童書コーナーを担当。現在は国家公務員に転職して大学図書館に勤務。2008年「バターサンドの夜、人魚の町で」にて第49回講談社児童文学新人賞を受賞し、作家デビュー。

 


   

●「バターサンドの夜」● ★☆       講談社児童文学新人賞




2009年09月
講談社刊
(1300円+税)

 

2009/10/24

 

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他人に関心をもたないばかりか、むしろ他人と関わらないようにしている中学生の女の子=赤羽明音(あかね)を主人公とした、児童〜一般向き小説。

そんな明音が、見も知らず、手当たり次第に女の子へ声をかけまくっている怪しい自称デザイナー=白石智美のスカウトに応じたのは、熱中しているアニメのコスプレ衣装を作ってくれるという条件に智美が応じたことから。
手作りのワンピースをネットショップで売ろうとしている智美、何もかも慣れないことばかりで悪戦苦闘。モデルを務めるだけでは済まず、明音、智美と二人三脚で大奮闘に至る。
自分と同じく何処か寂しさをまとっている智美。他人に関心を持たない筈の明音にとって、初めて人と一緒に何かのために頑張るという時間が生まれる。
しかし、そんな幸せな時間はいつまでも続かず、2人にとって予想もしない展開が起きていく。

人と繋がり合えることは幸せに他ならない、そのためにはお互いに腹を見せ合うことが必要、そして一度その喜びを知ってしまったらもう孤独でいられない、明音が学んだことはそういうことでしょう。
その点、本ストーリィは私が本来好むところなのですが、明音といい、智美といい、どこか突拍子ないところがあって、リアルさを欠いていると感じられるところが惜しまれます。
でも、ストーリィ自体は、好きかな。

 


   

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