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墨田区で建設中の“東京スカイツリー”634mを題材にした小説。
建築主の鉄道会社、日本を代表する広告代理店2社が組んで一大プロジェクトを推進しようとする中、プロジェクトを実質的に動かしているのは2人の女性キューレーターだった、という設定。
一方は公務員である江戸東京博物館の学芸部課長代理=角埜夕子31歳。もう一方は会員制の雑誌発行会社を経営し、ジジコロシと異名をとる米山朝子33歳。
建築主を間に挟んで2大広告代理店が競い合う中、各々のアドバイザー的存在である女性2人が陰で手を結び、協力して東京下町を新たな東京の中心地として再生しようという、一大イベント&プロジェクト・ストーリィ。
時宜を得た作品というべきですが、では面白かったかというと、正直私としては余り面白くなかった。
そもそも、東京スカイツリーにさほど関心を抱いていないという私自身の所為もあるでしょうけれど、ストーリィ自体、2人の女性自体、浮世離れしているという印象。
ただし、私が無縁というだけのことであって、このようなプロジェクトを一大イベントに仕上げていこうとしていく過程では、こうした裏舞台における凌ぎ合いがあるのだろうと思います。
女性2人のキャラクターが本ストーリィを盛り上げるところなのでしょうが、2人が奔放に女性であることを売り物にする当たり、そうしたこともあろうかとは思うものの、ちと釈然としない気分。
要は、プロジェクト、イベントという行動、実践は描かれていても、人間そのものは余り描かれていなかいという点が、私には物足りなかったと思う次第です。
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