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3.踊る陰陽師 |
●「難儀でござる」● ★☆ |
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2009年03月
2007/02/16
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対する相手は主君、天下人、高僧いろいろあれど、凡人である自分の身からすれば所詮宮仕えはシンドイもの。難儀なことも多かりし、という内容の8話を収録した戦国歴史もの短篇集。 難儀だと感じてみれば、戦国時代であってもそこは現代サラリーマンに通じるところは多い。本書の面白さはそこにあると言って良いでしょう。 歴史上に名を残すくらいの著名人物であればいざ知らず、それに仕える家臣等々は所詮凡人に過ぎません。 なお、「山を返せ」に登場する三郎兵衛の年上女房・おあきのひとことが実にお見事。 二千人返せ/しょんべん小僧竹千代/信長を口説く七つの方法/守ってあげたい/山を返せ/羽根をください/一句、言うてみい/蛍と呼ぶな |
●「清佑、ただいま在庄」● ★☆ |
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2010年09月
2007/08/25
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室町後期、逆巻庄という荘園の代官として赴任してきた清佑を主人公とする連作短篇集。 代官といってもこの清佑、幼い頃に寺へ入って以来ずっと寺で学び暮らしてきた若い僧。 清佑も瞬く間に成長の跡を見せますが、それより印象的だったのはおきぬのこと。 それにしても雨乞いのため奥の院へ参るという風習が、実は我が身をオオカミの餌として差し出すことに他ならなかったという話しには、本来笑い事ではない筈なのですが、ついクスッと笑ってしまいます。 吉書始め/沙汰付けを所望/起請をとる/貝合わせ/ばくち宿/刀盗人/湯女の公事指南/つくり沙汰/鹿の首/嵐のあと/徳政条々/オオカミ狩り/合戦 |
●「踊る陰陽師−山科卿醒笑譚−」● ★ |
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2008/04/25
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軽く楽しめるユーモラスな時代小説・短篇集。 中級公卿の権中納言・山科言継(ときつぐ)とその青侍(=公家の奉公人)である大沢掃部助の2人が、京の庶民らが抱える難儀に首を突っ込み、何だかんだと騒がせつつも一件落着させる、という滑稽譚。 まずは流行らず食い詰めかけている陰陽師の熊大夫が登場。掃部助にのせられたた挙句やけになって踊りながら祈祷をあげたところが、思いがけず評判を呼んで忙しくなりますが・・・・。 ※なお、山科言継は実在の人物で、今川義元や織田信長など多くの戦国大名との交流で知られており、本書はその言継の日記「言継卿記」がヒントになっているとのこと。 踊る陰陽師/日本一の女曲舞/雑色小五郎の逆襲/鞠を高く蹴り上げよ/天下無敵のだんまり侍 |