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「想像ラジオ」 ★★ 野間文芸新人賞 | |
2015年02月 2013/04/13 |
「DJアーク」と名乗る38歳のDJ、想像ラジオという媒体をもって声を届け続けます。 本書の帯には「耳を澄ませば、彼らの声が聞こえるはず」とあります。 読んでいく内に判ります。本作品は、別れた人たちへの想いを残し、あちらへ行く前に何とか声を届けようとしている人々の、生者と死者を繋ぐ物語だということを。 DJアークに応え、投書してきた人々もまた生者ではなくなった人々。東日本大震災が本ストーリィの背景となっているだけに、尚のこと愛する人々たちへ向けた想いが胸を打ちます。 生者側のことは殆ど描かれません。しかし、生者側に死者たちへ馳せる想いがあるからこそ、彼らの声もまた起こり得るのではないか、そう感じます。 この世を去っていく人たちの、別れてきた人たちへ届けようとする愛しい想いが伝わってくる、メッセージ集のような作品。 |