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「ひとりぼっちじゃない」 ★★ | |
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脚本家の伊藤ちひろさんが10年の歳月をかけて執筆した初の小説作品、とのこと。 その所為なのでしょうか、ストーリィ内容としては、何と長い!ことか。 主人公は雇われ歯科医のススメ、37歳男性、独身、一人暮らし。 このススメ、どうしようもないコミュ症。 そのためか日記をつけ始めるのですが、どうでもいいようなことを、ああでもない、こうでもない、ああ言えばよかった云々といつまでもグタグタ書き続け、日々それの繰返し。 もういい加減にしてくれと思うのですが、それが延々と書き連ねられるのですから、堪ったものではありません。 若い同僚歯科医の青井に比べ自分は人気がない、必要とされていないのかもしれないと思い悩み、歯科衛生士や歯科助手の同僚女性たちにどう思われているのか戦々恐々、そのくせどういう会話をしていいのか分からないと立ち竦んでしまうのが常。あげくに歯科助手の若い川西マイカに頬を張られるという事態まで。 どうにもならない悩み、愚痴を書き連ねる、というのがこのススメのパターン。 ところが、後半はそのススメが、アロマオイル等を扱う店を営む松阪宮子という女性に恋し、意外や意外、順調に進むのです。 ところが彼女には風変わりな点があって・・・。 どうしようもない人物、それは歯科医のススメ。どうにもならないまま終わるしかないと思った本ストーリィですが、最後の最後で漸くホッとさせられます。良かった。 ススメ、特別なケースかと思えば、彼が思い悩むようなこと、幾つか私自身もしてきたことに気づきます。 まだ変われることはできる、やり直しすることはできる、というメッセージが、読了後胸の中に残ります。 |