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「雪と心臓」 ★☆ |
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2022年08月
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まずプロローグ。 クリスマスの夜、火事で燃え上がった家。2階に取り残された少女を救おうと、通りがかりの軽自動車に乗っていた20代の男が危険を顧みず火の中に飛び込み、少女を救い出す。 しかし、その男は助けた少女を軽自動車に放り込み、そのまま走り去ります。一体、何故・・・。 そして本編はと言うと、二卵性双生児である姉弟の成長物語。 主人公は、弟の勇帆(ゆうほ)。はっきり言って凡人。学業・運動ともパッとしないし、性格も日和見。 そんな弟に比し、姉の帆名(はんな)は傑物と言っていい。勝ち気で好戦的。目上の人間だろうと、相手が間違っていると思えば容赦なし。女子ではあるものの、まさに快男児という風。 小学校から高校まで、勇帆を主体とした成長記なのですが、常に帆名が比較されるべき存在として触れられるのです。 この帆名のキャラクターがすこぶる面白い、魅力的。 本作の魅力はこの帆名の存在に尽きる、と言って過言ではありません。この帆名の物語をこのまま読んでいたい、と思うもののそれが成らず残念です。 エピローグでミステリの真相と、双子のその後が明らかにされますが、<ミステリ譚>と<成長譚>の2つをくっつけた、という印象は拭えません。 読後感は・・・微妙だなぁ。 プロローグ/1.掟破りの季節/2.暗雲に霞む正体/3.不協和音/4.革命遊戯/5.未熟なライフ/6.赤い夜の果てに/エピローグ |