穂高 明
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1975年宮崎県生、早稲田大学大学院修士課程修了。2007年「月のうた」にて第2回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。。

  


     

「夜明けのカノープス ★★


夜明けのカノープス画像

2013年08月
実業之日本社

(1400円+税)

   

2013/09/29

   

amazon.co.jp

中学教師を志望したものの教職員採用試験に連続して落ち、今は教育関係出版社で契約社員という身。中学の吹奏楽部時代からの憧れだった先輩は、今やミュージシャンとしてデビューし遠い存在。
自分なんかと卑下するばかりの若い女性=
映子が、再び前向きな姿勢を手に入れるまで、転機となる出来事を描いたストーリィ。

契約社員だからといって何でこうまで存在価値のないような扱いをされなくてはいけないのか。そんな映子に変化が訪れたのは、副編集長の太田が原稿を欲しいのに難航していると言った相手の大学教授は自分の遠い親戚だと発言したことから。実はその相手=安川登志彦は、両親が離婚して以来14年間会うことのなかった実父。そこから少しずつ映子の周りに変化が生じていきます。

とてもささやかな物語です。映子に転機が訪れ、自分を変えることになったと言ってもそれはホンの小さな一歩に過ぎませんし、本当に前向きな気持ちを取り戻せたかどうかは今後に委ねられています。
でも、ささやかでもその一歩を踏み出したことが大事なこと。
ささやかな女性の、ささやかな一歩を描いた、ささやかな物語。そのささやかさが快く、愛おしい。本書はそんな作品です。

※カノープスとは、冬の星座「竜骨座」に一等星で、シリウスに次いで全天で二番目に明るい星ながら、日本では地平線すれずれの南の空に現れる為、なかなか見ることのできない星だそうです。

 


  

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